突発バレンタイン文!(オチは見えた)





「キスしてくれたら許す」

そんなことを言いながら浜田は歩みを止めた
見るからに寂しくて可哀相で健気ですみたいな顔してるけど

なんだよそれ
その、俺が悪いみたいな感じ



*



珍しく練習終がわるまで待っていたそいつは、俺が「どうして?」と尋ねると心底不満げな顔で「なんだよソレ」と呟いた

こっちが聞きたい



「…なんで俺がお前に許されなきゃなんねーんだ」

全く喋らない帰り道
突然キスしろと足を止めた浜田に、俺は疲れてるのもあって段々イラついてきた
今日は朝から生憎の雨で、思いっきり走りまわれないわバッティングは上手く決まらないわで
普段より少し、優しく出来ない自分がいる

それに輪をかけて意味のわからない浜田のこの態度
なんで勝手に待って勝手に怒ってるのかわからない

「はぁ…俺ばっかり泉を好きなんだね」

俯いた浜田の声が震えた
こんな寒い日にコートを着てないからじゃない、それはいつものことだし

「?何言ってんだお前」
「はぁ…もういいよ、帰ろう」

目元を拭ってひとつため息をついて、再び歩き出した浜田は俺を置いて進んでゆく

傘を差すのが下手くそ
背中が少し濡れている
憎たらしいその背中


「っ…なんなんだよ!俺だって……俺だってめちゃくちゃお前を好きだろ!わかれよ!」

自分でもビックリするくらい大きな声が出た

振り向いた浜田は今にも泣きそうな顔で、自分の傘を電信柱に投げつけた

「わっかんないよ!!」


雨が容赦なく浜田の服に染み込んで色を変えてゆく

言ってくれなきゃ
俺だってわかんないよ

練習は確かに疲れたけど、お前の顔見て吹っ飛んだ
一緒に帰れるのが嬉しいなって思った

なのに
こんなに好きだってことも
伝わってないんだから



「だってさぁ…なんで?!俺すっごい今日楽しみにしてたんだよ?なのに放課後まで何もないし、練習行っちゃうしさぁ!」


今日はバレンタインなんだよ!?



固まる俺を余所に、ついに浜田は泉のばかぁとしゃがんで泣き出した
嘘泣きかはわからないけど、本気で悲しいって訴えてる

ゆっくり近づいて自分の傘をしゃがんでる浜田に傾けた

「ばかはお前だ…」
「うう…チョコ、ちょうだい」
「用意してるワケねーだろ!!」

キッと俺を見て、涙目で訴えるのを見てたらアホらしくて気が抜けてきた
今日本気で疲れてんだからさ、勘弁してくれよ

「俺、今年は泉がいるからって、義理貰わなかったんだよ…!」
「え、マジ?俺4つ貰ったけど」
「はぁあ?」

俺も浜田から貰ってないんだけど、とかバレンタインは女の子があげるんだけど、とかいろいろ言い分はあるけど



…仕方ない
すぐそこのコンビニで何か適当に買ってやろう
そんでこいつん家で一緒に食べよう


そんで今日だけは特別に
チョコレートより甘いキスをしてやろうかな



fin!
happy barentain!



突発文故ヤマからオチるだけのギャグ話でした、すみません!埼玉は雨です^^
帰宅した後二人はこたつで浜田が入れたコーヒーなんか飲みながらゆっくりチョコ食べて、一緒に撮っておいたサッカーでも見てると思います
では素敵なバレンタインを〜!^^/


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