詩と物語

□あめくものつぶやき3
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昔はこんなんじゃ
なかったんだよ

子供の頃は
ずっと遠くまで見渡して
自分を見てる暇なんかなくて

遠い将来(サキ)に
瞳を輝かせてた


でも今は...


その夜はわけもなく
ただ歩いていた

わけなんて本当は
分かりきっていたけれど
知らんぷりするほうが
ずっと楽だった


今日の僕はいつもより
まばたきが多かった

遠くを見れば
人と街灯の区別もつかなくて
ただ一面に
暗闇が見えるだけ


でもそんな中に

 光の花が咲いていた


それは
花火のようで
蛍のようで
虹のようで
星のようで

涙がこぼれ落ちる度に
僕を励ますかのように
光の七色が花開く

近づいてみれば
それはただの街灯で

近眼の僕にだけ見えた
夜の七色は
僕に何かを気づかせた


遠くがぼやけていても
もういいよ

見えないからこそ
先が待ち遠しくなる

将来(サキ)なんて
一歩前だけ見えればいい


君を追いかけて
隣を歩こう

その笑顔は
肩を並べたすぐ近くで
見ていたい
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