宝物
□ああ、神様
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「ねみー、」
昨日、咲良を家に呼んだにもかかわらずなんもできなかった
「だっせーな、俺。」
そういってひとつ、あくびをする
「誰がだせーの?」
隣からひょっこり顔をだしたのはまぎれもなく咲良
「なんでもねー、」
また言えねー
俺はヘタレの水谷かっつーの……
言ってて自分が嫌になってきた
つか、断じてちがうと心の底から思いたい!
「なに?一人で変顔百連発みたいなのしてんの?」
「なんで朝っぱらからそんなことしなきゃなんねーんだ。」
「ふーん。」
***
「咲良ーっ」
お昼休み
田島が咲良のことを呼んだ
「泉もいろいろ大変だな。」
「よー、浜田」
俺が咲良のことを好きってしってんのは唯一、浜田だけ
「今日こそはって思ってもなんか脱力するっつーか、なんつーか。」
「まぁ、咲良だしな……」
いつもは浜田なんかに感謝なんてしねーけどこういうときだけ感謝するわ
なんかわかってくれてるみたいだし?
「じゃっ、咲良。よろしくなー!」
そういって田島がこっちに戻ってくる
「何してたんだよ、田島?」
「んー?咲良に告白してきた!」
「「はっ!?」」
見事に浜田とシンクロ
けど、今は無視!
「え、おまえ、咲良のことすきなの?」
「おー!もうかわいいし食べちゃいてーくらい好き!」
こいつに渡しちゃダメだ
食べちゃいてーとか絶対ダメだ
つか俺は田島より昔からすきなくせに何やってんだよ
情けねー
好きなやつになんにもできねーのかよ
***
「でね、みあちゃんが手伝ってくれたんだぁって孝介?」
「あ?なに?」
いつもの帰り道
昨日までと変わりなく話す咲良
つか告白された日でもこんな話すんのかよ
なんか俺ひとり舞い上がってるみてーじゃん
「咲良、」
「ん?」
「おまえ好きなヤツいる?」
幼馴染でもさすがに恋の話はしない
それに聞きたくなかったから
今までの俺は
「いるよ、」
歩いてた足を止める
同時に咲良も止まる
「俺、お前のことが好きなんだけど。」
前に進め
「へ?」
俺はヘタレじゃねー
「俺と付き合って?」
「うそ、」
その言葉とともに君の瞳から涙が一筋
綺麗に流れていった
ああ、神様
→おまけ
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