宝物

□ああ、神様
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「うそ、」

「嘘じゃねーよ。」

「だって孝介一度も何にも……」



綺麗な涙をこぼしながら君は言う



「はぁ、ったく」



服の袖をひっぱり強引だが顔をふいてやる



「泣いてちゃわかんねーだろ?」

「だ、ってびっくりして」



また一粒、しずくが落ちていく



「なんかわりーことしたみたいじゃん。」

「したよ。」

「あ?」

「すっごく嬉しいこと。してくれたよ?」

「なに?」

「告白。」



瞬間、俺は自分で顔がほてっていくのがわかった



「じゃ、な、泣くなよ!」

「なんで?」

「なんでって、」

「うれし泣き。」



彼女が自分の涙をぬぐった手をつかみ握りしめる



「行くぞ、」

「え!どこにっ?」

「どこでもいーだろ?」



ああ、神様

この恋は夢なんかじゃねーよな?

偽りなんかじゃねーよな?

だったらひとつ言わせてください



「咲良、」

「なに?」

「一生、幸せにしてやるよ。」

「ありがと。」




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