青春


□高2年〜3年の間の春休み
[大切な時間]
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「気持ちー」
今日は晴天。春にしては少し暑いくらいの日差しを受けながら、自転車で坂道を下って倉田の家へ。

「ナギセさんと最後に会ったのもこんな天気だったな…」




そう…

あれは、俺ら神山男子校の隣にある桜野女子高の通称「通学路のマドンナ」…俺が片思いしている1つ上の先輩、ナギセさんの卒業式の日だった。



俺らの学校の隣の女子高-桜野女子高-は全寮制のため「登下校」というものがない。

だから、俺はナギセさんが退寮した後、一緒に登下校してみたかったんだ。

だけど、退寮した後は自宅学習期間らしくて…

そのことを倉田に教えてもらったときには、ナギセさんが学校に来るのはもう卒業式の日だけで…
しかも学年末考査の最終日ともろかぶってた。

桜野女子高は寮もあるから、敷地面積がとんでもなくて…
普通に校門まで走って行ったんじゃ間に合わなかった。


でも、どうしても一緒に一度下校したかった俺は…

テスト終了後、俺達の高校とナギセさんのいる高校をつなぐ唯一の渡り廊下…通称お鈴廊下…の上を走って渡って敷地を突っ切り、桜野女子高の校門まで行くという少々無謀な計画を立てた。

その計画を手伝ってくれたのが倉田だった。上村と野上にも少し手伝ってもらったけど。

当時倉田は学年長で、真面目でお堅い感じがして、上村達とは衝突しがちだったけど…

あの後、4人一緒に反省文も書いて…
倉田も実は上村達好みのヤツだってことが分かったらしく。


それから、上村達に倉田ブームが到来し、今では上村と野上も入れた4人で一緒にいることも多くなった。


「良いことだよなぁ」
そうこうしている内に倉田の家が見えてきた。

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