激安☆現実味
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伊「それは災難でしたね。
でも、その女性も勇気のある方ですよね。一人でしかも暗くなっている時間帯に小物屋に入ったんですから」
饅頭屋「いいや、そりゃ違うよ」
伊「え?」
留「何が違うんですか?」
今の話を聞いている限り、変な会話ではなかったと思う。
何か違うんだろうと饅頭屋さんが次に発する言葉を注意して聞く。
饅頭屋「あの子が小物屋に入った時刻は、お昼がちょっと過ぎたぐらいだったんだよ」
文「それは可笑しくないですか?
昼間に出てくる妖怪なんて聞いたことがない」
留「対外、妖怪やら幽霊の話は夕方や夜だもんな」
此処にいる全員が不思議そうな顔やら疑っているような顔をさせていた。
饅頭屋「まぁ、ここいらでは有名な噂話ですからね。
本当かどうかは実際に見なきゃ分からんことですよ」
苦笑まがいの顔をさせながら笑う饅頭屋さん。
?「おーい。ちゅうもーん」
饅頭屋「はい、ただいまー。
すいません。呼ばれてしまいましたので私はこれで…」
空『時間を取らせてすいません…。…起きるまでここに居ても?』
饅頭屋「ええ、構いませんよ」
空『ありがとう…ございます』
饅頭屋「いいえ。あと、お手数でなければ小物屋さんを送って下さいませんか?
私が送れば宜しいのですが、店を開けっぱなしにはできませんので…」
いくら、良い噂の聞かない店の人でも商いをしている者同士し心配はするのだろう。申し訳なさそうな顔をさて私達にお願いをする。
空『…構いません。あそこの道を入ったところですよね?』
(私は構いませんよ。あそこの道を入ったところですよね)
饅頭屋「ええ、あの道を入って五軒目の長屋です」
空『わかりました』
饅頭屋「助かります。
今日、皆さんが食べた饅頭の代金はいりませんので宜しくお願いいたしますね。
では、私はこれで」
ぺこりと、頭を下げて店の中へと戻る饅頭屋さんを見届けると、誰かに肩を叩かれた。
空(なんでしょう?)
誰だろうなと思いながら私は肩を叩かれた方へと振り返る。
空(うわぁー、物凄い形相してるよ伊作君;)
そこには、梅干しを100個でも食べたのか、と言いたいぐらいに酸っぱそうな顔をさせている伊作君がいた。