激安☆現実味
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[空side]
五日市だからか、今日の町は賑やかでいて楽しい。可愛いらしい柄や色を取り揃えている古着屋から色鮮やかな八百屋、魚の新鮮さが残ってる魚屋など様々な店が並んでいた。
そして、何よりも楽しく感じさせられるのは気の合う友達と一緒にいるからだろう。
文「この饅頭はうまいな」
小「だな。それに、つぶ餡が大きくて良い」
留「おじさん、もう一皿いただけますか?」
店員「あいよ」
長「ズズッ…ボソ」
(お茶が美味しい)
伊「のんびりできて良いよねぇ」
仙「ああ、日頃の疲れが取れそうだ」
和やかな会話が飛び交う中で私は、席の端っこで一人でに饅頭をハムッと口の中に頬張り、餡の甘い味を堪能していた。
空(こうやって学校の休みに沢山の友達とお喋りしながらお菓子を食べたる。良いですね〜。青い春ですね〜)
側に置いてあった粗茶を持ち上げゆっくりと啜(すす)る。
小「なぁなぁ、次はどこ行く?」
文「そうだなぁ。さっき行ったのは、伊作が行きたいと言った薬売りと小平太が立ち止まった竹細工の玩具売りだったな」
留「それに俺が会いたかった建具大工さんには、お会いできたし、仙蔵の古着吟味も終わった。長次と文次郎が食べたがっていた饅頭屋には今いるしな」
長「…ボソ」
(おいしい)
空『そうね』
(そうですね)
仙「全員が行きたかった場所には全て回ったな」
伊「…ん?あれ?
今の会話で空ちゃんの名前が入っていなかったような…?」
伊作君の言葉に先程まで華やかだった空気が一変して静まり返る。
空(何だか静かになってしまいましたね;
私としては皆さんとお出かけするだけで嬉しくてしかたがないのですが…;
やはり、日本人ならではのお気遣いが出てしまいますよね。
よし。ここは、年長者(※精神面)の私が空気を打破させてみせましょう!)
両手で支えていた残り少ない粗茶を全て飲み切ってから勢いをつけて話しだした。
空『特に行きたい場所とかない…から気にしないで…』
(特に行きたい場所とかないですから気にしないで下さいね)
笑顔で対応をしたかったが、ちょっと先の未来で皆さんから怯えられる姿が火を見るより明らかだったので下唇を噛んで自重した。
空(どうですか!この対応力!!
綺麗なお姉さんとまではいきませんが、皆さんからは大人なお姉さんと思われているはず…!)
何時にもなく自信を持った私は全員の顔が見れるであろう右側へ顔を向ける。