激安☆現実味

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良い笑顔でこちらへ振り返る小平太に俺と文次郎が頭を叩(はた)き、長次と仙蔵が小平太を叱る。
空と伊作は女の人に近づき息があるか確認していた。


小「いった〜」

仙「いった〜。じゃないだろう小平太。少しは反省しろ」


多分、仙蔵の反省しろというのは危ない人には容易に近づくなと言う意味だと頭の中で解釈する。

留(あいつ、何気に恥ずかしがりやだからな)

呆れた顔の仙蔵に小平太は、口をへの字に曲げて拗ね始めた。


小「えぇ〜。だって、あれだけの元気があるなら、あのぐらい大丈夫かと思ったんだもん」

長「…ボソ」
(確かに。変な人だったし大丈夫かと思うが、一般人に当て身するのは良くないと思う)

文「そうだぞ。例え、奇怪で声を荒げながら頭を打ち続ける人だが、一応は女性なのだから下手したら死んじまうぞ」


文次郎なんかに賛同したくはないが、確かに変な女でも性別上は女性なのだ。
しかも、俺達みたく毎日の訓練などしていない一般人には危険すぎる行為。以(もっ)ての外(ほか)だ。


小「えッ?
前に空ちゃんと組手した時にさっきのやったけど大丈夫だったよ?」

仙「空は、受け流し方が上手いからな」

留「そうそう。それにあいつ強いし」

文「確かお前、五日前に空と組手した時も押されてたもんな」

長「…モソ」
(ああ、そんなこともあったな)

小「留三郎、ダッセー」

仙「…ぷッ」

留「てめぇ等、表に出ろーーー!!

空『もう、表には出てるよ』

留「のわーッ!?


いつの間に俺の横へ潜んでいたのだろうか。肩を叩かれるまで気づかなかった。


空『どうし…た?何かあった…?』

留「いや、何でもねぇ;
それよりも、あの人は大丈夫だったのかよ?」


先程の話を聞かれていないか、ドキドキと鳴る胸を抑えつつ、心配そうな瞳で見つめてくる空の話を聞いた。


空『ええ。軽い脳震盪だった…。
お姉さんの…行動理由は未だ不明…。取り敢えず、彼女が起きるまで待とうと…話し合った』

留「そ、そうか、ありがとうな。
それよりも、空はさっき俺達が話していた内容を聞いていたか?」

空『話し…?いえ、聞いてなかった…、大事な話?』

留「いいや!!全くもって大事でない話だ!!気にすんな!」


良かった。全くもって良かった。
空の肩をバンバンと両手で叩き安心する俺に仙蔵の舌打ちが聞こえたが気にしたら負けだとシカトする。


空『じゃあ、伊作君があっちで待ってる…、小平太君を叱るのはその位で集まりましょ』

留「おう。おい、伊作の所へ集合だってよ」

長「…モソ」
(わかった)

小「わーい。叱られるの終わった〜」

文「ちがわい」

仙「学園に帰るまで保留になっただけだ」

小「えー|||」


残念そうに肩を落とす小平太に背中を押してやった。
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