激安☆現実味
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襲いかかってくる留三郎に灰色さんは、笑うのを止め、いつもの無表情に戻り快進撃を始めた。
先に動いた留三郎よりも素早く手を開き、その手を留三郎の頬に目掛けて平手打ち。そして、吹っ飛ばしてしまった。
吹っ飛ばされた留三郎は僕の横に飛んできた。
伊(うわぁ;自業自得だと思うけど大丈夫だろうか?)
女の子に吹き飛ばされて事に驚きを隠せていないのか唖然としている留三郎を助けて(※怪我人は助けるという保健委員会の方針なんだよ)いると、灰色さんが近寄ってきた。
留三郎にまた、攻撃するのかと心配したがそれは僕の憶測だけで終わった。
伊「灰色さん・・・」
空『大丈夫・・・。・・・話をするだけ・・・』
彼女は優しい言葉を僕にかけてから、留三郎の前に正座をして話しかける。
空『叩いて・・・ごめんなさい。私は貴方の言う通り、嫌な奴・・・です。
ですが、文次郎君は大事な友達。だから、・・・そんな事を言わないでくれ・・・』
彼女の気持ちはすごくわかる。誰だって自分の友達を侮辱されたら灰色さんと同じ辛そうな顔をするだろうし、悲しくもなる。
留・伊「・・・ッ」
彼女の気持ちがわかった僕らはいつの間にか、眉間にシワを寄せて表情を暗くしていた。
重苦しい空気の中、先に動いたのは灰色さんだった。彼女は懐に手を入れると薬(?)らしき物を留三郎に渡す。
空『それは、腫れ引き用の軟膏。私が作った薬で・・・私自身で実験した。
だから、安心して・・・』
それだけを言い残した彼女は、足をかくれんぼの集合場所に向けて歩き始めた。
伊(なんかわからないけど、灰色さんと留三郎を仲直りさせなきゃ!
このままじゃ、いけない気がする。)
そう思うと、口が勝手に動きだす。
伊「ちょっと、待って灰色さん!!」
僕の声を聞いてくれた灰色さんに心の中でお礼を言い、留三郎に優しく話し掛ける。
伊「留三郎。僕は灰色さんに虐めらてなんかいないよ。反対に助けて貰ったんだ。
それなのに留三郎は誤解して灰色さんに殴り掛かったんだよ」
留「オイッ!!本当かよ?」
僕の言った事が嘘ではないのか確かめたかったんだろう、留三郎は彼女に真意を聞く。
聞かれた灰色さんも本当の事なので、ずっと黙っていた。
伊「留三郎は僕の話しを・・・ウッ・・ヒッグ・・聞かないし・・・ッゥウ・・止まらないし」
留「い、伊作;!?」
感極まってまた、灰色さんの前で泣いてしまう。多分だけど、彼女の中で僕は情けない男だと思われているだろうな。
でも、それが今の僕なんだから仕方がない。それに、涙を流すとスッキリするって誰かに聞いたことがあるので万々(ばんばん)泣く。
僕が泣いていると遂には、留三郎までも泣き始めてしまった。
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