激安☆現実味
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ずっと、僕の頭を強く撫で続けてくれている灰色さんに、こそばゆいものと暖かくなるものを感じた。
伊(撫でてくれるのは嬉しいんだけど力が強くて少し痛いけどね;)
少しだけ我が儘を言う僕に灰色さんは、まだ撫でていた手をそのままにして何故か体を屈(かが)ませた。
疑問に思い声を掛けようとした、その瞬間・・・。
シュッ・・・カッ!!
彼女の後ろの方から手裏剣が飛んできた。
伊(手裏剣!?だから、灰色さんは強く撫でたのか!
何にも見えない後ろからの攻撃なのに、気づくなんてやっぱり凄すぎる)
そんな彼女にも驚きを隠せずにいたが、それよりも何よりも手裏剣が飛んできた先を見て更に驚愕した。
驚愕の理由は、僕の友達である食満 留三郎が手裏剣を飛ばしてきたからだった。
伊(な、なんで留三郎が灰色さんに手裏剣なんかを飛ばしたんだ!?)
混乱していると、灰色さんはこの状況を冷静かつ、無言で見ていた。
無言の間が続くかと思ったが、彼女に向かって指を差し大声を張り上げる留三郎。
留「テメェ・・・伊作を虐めたな!!・・・許さねぇ!!」
伊(留三郎、僕は泣かされてなんかいないし、むしろ嬉しい事をしてもらったんだけど・・・;)
僕の心の声は虚しくにも留三郎には通じなく、とりあえずは、留三郎の勘違いを直そうと、どう話すべきか頭の中で大会議をしていると、留三郎は灰色に走りながら殴り掛かって行く。
灰色さんは留三郎の拳からを軽々避けると、僕と留三郎から間をあけた。
伊(なにやってんの留三郎ー!?)
留三郎のいきなりの行動に抗議という名の文句を言おうとしたら、留三郎(勘違い野郎)が伊作の肩に手を置き話しだす。
留「伊作、大丈夫か!?
帰りが遅くて捜しに来たんだが・・・、泣く程の酷いめにあっていたなんて・・・」
伊「い、いや、留三郎これには訳が有って・・・;」
留「いや、言うな。俺には分かるからな。
アイツが虐めたんだろ?そうだろ?
文次郎なんかと付き合ってるくノタマだから相当、嫌な奴に違いない!!」
伊(ちっがーーーう!!
文次郎と犬猿の仲だっていうのは知ってるけど、勘違いもケマケマしいよ留三郎!)
留三郎は僕の言葉を遮って灰色さんをジロリと鋭い目で睨みつける。
けれども、灰色さんは怖い顔の留三郎にも怯える事なく、顔を伏せて小刻みに嘲笑っていた。
留・伊「!!?」
留「なッ!?何が可笑しい!!」
笑われた事に腹をたてた留三郎は、灰色さんに又もや殴り掛かっていく。
灰色さんが危ないと危険を感じた僕は、留三郎に声を掛けるが一向に耳を貸してくれない。
伊「止めてよ!留三郎!!」
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