とある風紀の音嶽葬射

□あなたは<聞こえる>
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常盤台内風紀委員室

「常盤台狩り?
そっかうちの制服を
着ていたせいで…」

先ほどのケーキ屋のお手洗いで倒れていた佐天を運んだ御坂は
ここで常盤台狩りを初めて知るのだった

「具合はどうなんですか?」

「身体の方は大したことなくて
しばらく横になれば
大丈夫だろう、て
…ただ…」

"佐天さん…"

俯いていた顔を上げる御坂

「犯人の目星はついてるの?」

「まだですの
少々厄介な能力者のようでして」

「厄介って?」

「目にみえないんです」

そう
ただの能力者だったら被害者からすぐに情報を聞き出せたのだが
目に見えないとなると
特徴どころかどれくらいの大きさかもどんな服を着ていたかも分からない

まさに行き詰まっていたのだ

被害者(婚后光子)の証言によると目に見えないのだが
その本人の横に並んで歩いている少女の映像が監視カメラには映っていたのだ

「被害者には見えない犯人ね…」

「最初は光学操作系の能力者を
疑ったのですが…」

「姿を完全に消せる能力者は
学園都市に47人います
けど
その全員にアリバイがあって…」

「それ以前に
監視カメラには映ってるんでしょ
光学操作系ってのは
ちょっと違うんじゃない?」

「そうなんですの…」

いきなり外を見た白井と初春は鳩を見た、そんなもの気付かなかったと言った

「気付かない…?」

すると音波は何か思い出したような仕草をした

"視覚阻害(ダミーチェック)"

「対象物を見ているという認識
そのものを阻害する能力です
該当する能力者は一名
関所中学校2年重福省帆」

やっと犯人を見つけたと思った御坂、白井、初春だったが音波は首を横に振って
パソコンの画面を指差した

"レベル2じゃ
自分の存在を完全には
消せないはずだよ"

「いいせん行ってると
思ったんだけど…」

「ぅぅん…」

「「「「?」」」」

声の主は顔に濡れタオルをかぶせてソファーに寝かしておいた佐天だった
起きた際に濡れタオルは床に落ちてペチャと音を鳴らす

「佐天さん」

「無理しない…で…」

みんな顔を背けて必死に笑いをこらえる様子を見て頭の上にクエスチョンマークを浮かべる佐天に
唯一冷静な音波が手鏡を渡す

「なー!!!」

音波と佐天を除いた3人は堪え切れずに声をあげて笑い始めた

「な、な、なな、な、な…」

「佐天さん気をたしかn…」

「ショックだよねそりゃ」

佐天の顔にはこち○めのキャラのようなぶっとい眉毛が描かれていたのだ
しかも真ん中でつなげるというオプションつきで

「せめて
これくらい前髪があれば
隠せましたのにねー」

白井も笑いをこらえながらパソコンに映っている重福を見る

「前髪?」

そしてその画面を見た佐天は…

「こ、こいつだー!」

「あなた犯人を
見たんですの?」

「はい
あの時鏡の中に確かに…」

「鏡に監視カメラ…」

"認識を阻害するのは
肉眼で見ようとした時か…"

そう書いて口角を少し上げる音波

"初春
パソコン準備"

「はぃ?」
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