とある風紀の音嶽葬射

□あなたは<聞こえる>
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共感覚性

誰でも持っている感覚だが
一部の人間には通常のそれをさらに越えた者もいる

五感で感じたことを別の感覚で感じる特別体質

視覚から聴覚へ
味覚から聴覚へ
触覚から聴覚へ
嗅覚から聴覚へ…

無論その逆も然り…

"…C♭…"

この少女は今字を<聞いて>いた

「すごいですわね
やはり分かるんですの?」

"書いた人間の意思とか
そういうのを感じるらしい"

「ですが
聴覚に変換するだけ
というのは少し不便ですね」

"充分だよ"

そう
この少女音波奏は感覚の共有は聴覚へ変換することしか出来ないのだった
無論それでも充分本人としては役に立っていた

足跡から逃走犯の足音を絞り込むことができるうえに
その場の気配からもどんな人間や生き物がいるか特定するといったことも彼女にとっては容易だった

別に変換されて聞こえてくるものはうるさいわけではないから迷惑しているということでもない

"面倒くさいのは
この能力の方なのよ"

音波は自嘲的に微笑しながらメモ用紙を見せる

彼女の能力「音嶽葬射」は強力な上に効果範囲も広いため大変便利な能力だが

その反面自分の意識して出した音は勝手に周囲を破壊してしまう
厄介な能力でもある

"さぁ
仕事に戻ろう"

そんな脳内など感じさせないかのように音波は笑みを浮かべる

「そうですわね」

「行きましょう」

そう言って2人は支部を出てパトロールに向かった

「何時になったら
2人に教えるのかしら?」

二人が出ていった直後に話し掛けてきたのは向かい合わせで仕事を進めている固法

"…またいつかですね"

「またそう言って…」

"こんな化け物
一緒に居たって知るだけで
みんなどこかに行くから
何時でもいいんですよ…"

「化け物って…」

バンッ!

"…もう行きます"

思い切り机を叩いて
早足で支部を出ていく音波を見て固法は深くため息を吐いた

「…化け物…か…
…幻のレベル6に
なりかねない人物…音波奏…」

固法は今学園都市のデータバンクを見ていた
そこに映っていたのは

髪を短く切られ
やつれたような顔をした
音波奏の姿だった
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