微妙な19のお題

□09.嫌い、だけど好き 嫌い、だから好き
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「なによ!帰りなさい!」

隊長に対して乱菊さんのこの口の利き方。
それだけで乱菊さんとこの男の仲がうかがえて、俺はさらにショックだった。

「昨日はボクが悪かったて。謝るさかい。許してぇな」

「嫌よ。アンタの顔なんか二度と見たくないわ」

「許してぇな、乱菊」


乱菊さんのことなれなれしく呼んでんじゃねぇよ。

昨日ってなんだよ?
今日乱菊さんが不機嫌だったのは、お前のせいなのかよ?

俺ってつくづく報われねぇな…


「これじゃぁ、いつまでたってもおわらへんなぁ。ボクんちで話そ?はよ帰るで?酔うてるんやろ?おぶったるさかい。乗り?」

「嫌よ!アンタ一人で帰りなさいよ!」

「ボクも嫌や、はよ乗ってぇな…」


そう言いながら無理やり乱菊さんを背負う市丸。
でも乱菊さんは抵抗しなかった。


「阿散井クン、檜佐木クン、乱が迷惑かけてごめんなぁ。お詫びにここはボクがごちそうするわ」


そう言って、財布からどう考えてもここの会計には多すぎる額を平然とした顔でテーブルに置く市丸。


「市丸隊長!多すぎますよ」

「ええんや、乱が迷惑かけた分や、もろといて?ほなな」

そう言って乱菊さんをおぶった市丸は出て行った。


「檜佐木さん、どんまいっすよ」

なんて言った阿散井の声なんか俺には聞こえなった。
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