恋をする
□08.恋する君は何を望む
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俺の愛しの乱菊さんは恋をしているらしい。
本人は何も言わないが俺にはわかる。
相手はたぶん…
三番隊隊長市丸ギン。
同期だとは聞いていた。
他の隊長より乱菊さんとの距離が少しだけ近いのはそのせいだと思っていた。
思っていた。
と言うと語弊があるかもしれない。
正確には思っていたかった。
吉良がこぼす市丸隊長の愚痴を聞いてあんたんとこの隊長、そんなことしてんのぉ?
何て少しめんどくさそうに言っていた。
少し前までは。
でも最近なにかあったらしい。
いつも通り吉良がこぼす愚痴に何の言葉を発するでもなく、でも楽しそうに笑っている。
俺は思わず聞いた。
「乱菊さんてどんな人と結婚したいんすか?」
結構勇気を出していったつもりだった。
「アタシ、結婚なんてしないわ。今が充分幸せなの!!」
だがそんな勇気が砕け散るほどあっさりと乱菊さんは答えた。
余計わからねぇ。
じゃあ乱菊さんは市丸のこと好きじゃねぇってのか?
いや、そんなはずねぇ。
恋する野郎の目に狂いはねぇ。
好きなやつがいたらそいつと結婚したいと思うのは当たり前だろ。
なら一体、恋するアナタが望むものってなんなんすか…
アンタ、まだまだね。
そんなとき、乱菊さんの声が聞こえた気がした。