拍手御礼

ひらひらと、
1ページ/2ページ



ひらひらと、



川の辺を歩けば、

桜色の花びらが中を舞う、

もうそんな季節か、
いや、またこの季節か、、、





「..どいつもこいつも呆気なく散りやがるぜ、、、、忙しくていけねぇや、」





ふと笑い、
加えた煙草の煙りと共に、

ぽつりと吐く、


桜の散り際を武士と重ねる奴がいるけれど、


そんな気は毛頭ない、


俺等はただ忠実に、
己の魂に恥じぬよう生きるだけ、

散るのではない、

、、、生きるのだ



ひらひらと、

刹那に舞い散るそなたが、

、、、切ないと、






煙りと共に舞う花びらがなんともしおらしい、

風情を感じる、といったところか、




「...ん、」




この穏やかな春の中、
何とも馬鹿げた姿が視界に入る、



「..何やってんだお前、仕事どうした仕事、」



俺のその言葉に振り返るは、



「..っあ、土方さん^^」




満面の笑みのお前、



「..馬鹿面下げて何やってんだ、」





「今お使いの帰りなんです、ほら、土方さんのマヨネーズがいっぱい、」




彼女の足元には袋いっぱいに詰められたマヨネーズ、




「..ならいんだ、なら、//」




何故か俺は彼女のその屈託のない笑みに目を背けてしまう、

お前のその笑みがいつも俺を無口にさせるんだ、、、





「ねぇ 土方さん、見て下さい、」




晴れやかな彼女の声で俺は顔を上げる、




「..綺麗でしょ、」





地面に落ちた花びらを、
掬い上げては、
空へと投げるお前、


彼女の辺りを舞う花びらは、まるで彼女を彩る様、


一度終えたその命、
お前が舞わせてくれる、
何度でも、



今なら言える、

素直な言葉、



「..綺麗だな、お前、」




いつも言えない、

この気持ち、




「....ぇ、」





今なら言える、

この気持ち、




「結婚しよう、」




やっと言えた、

この気持ち、




「―――…っ、」




初めて見る、

お前のそんな顔、




「..泣くな馬鹿、」




そっとその小さな身体を抱き寄せる、




「..だって、」




返事は要らない、




「黙って俺について来い、」



震えるお前の声で返ってくる、



「一生あなたについて行きます、」




ひらひらと、

可憐なそなたの舞いが、

、、、俺の背中を後押しする、




次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ