BGL
□小指に赤い糸
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雑誌を手にして中身を良く見てみると、あることないことの妄想で書かれた内容で呆れ果てた。写真が事実でも、取り替えが事実でも、文字だけは違うとすぐに分かる。
「あいつ、可愛がられるタイプだしな」
「え、なんだよアオイ」
「いや? ってか、このページとか嘘くせぇじゃん。宇宙人と接触した芸能人とか」
「確かに。まあ俺らにしたら、そんなのカンケーないんだけどな。単に羨ましいってことだけ」
確かに写真には綺麗な女性ばかりが一緒にいる。昔から近所の女の子に人気がある。デートを頼まれ困惑していたが、子どもだったしデートという概念がなさそうだった。
「ってか、この女優。俺の好きなやつだったのに。ムカつくー」
「恋愛じゃないだろ」
「なんでそう言えるんだよ」
「見ただけで分かるだろ。付き合ってるならもっとくっ付いているし、ソラの肩を見てみろよ」
「あ、肩が女優から離れてる? 道路側に向けて危ないだろ」
「普通は付き合ってたら、彼女側に肩を向けるよな。これ見るからに離れてねぇ? 歩いてるからにしてもおかしいし、こいつ、そんなに体歪んでないだろうし」
当たり障りなことを並べば安心したように息を吐いているクラスメートたち。どれだけ、この女優のファンがいるのか分かった。
道路側を進んで歩くようなフェミニンなとこは変わらないと、俺だけは小さく笑った。
「ってか、この女優。男嫌いで有名じゃなかったか。今まで浮いた噂がなかったから、スキャンダル処女って言われてたな」
「なんだそりゃ」
「アオイ、今まで人気でもゴシップ記事にされなかった人のことだよ。こういうお忍びデートとか自宅デートとかな」
「へぇ、芸能人も大変なんだな。普通の人間なのに恋愛も出来ないのか」
「そう考えると、俺らって贅沢だよな。自由だし」
「捕まえられなきゃ意味ねぇだろ」
下品に笑うクラスメート。女が望むような男はこのクラスにはいない。よって、モテない理由はそういうことだ。
仲間内でいる方が楽になったら、もう危険ゾーンだろう。