クール時々、電波

□帰省・2
1ページ/18ページ


「奈々ちゃん、これ見て」


兄さんが寝る直前に見せたケータイの画像に私は鼻を押さえた。


「なにこれ、すっごくカッコイイ」

「だろ?」

「執事のコスプレ? 凌くん、そういう趣味があったの?」


カメラで撮ったらしく、綺麗にスーツみたいなものを着飾った凌くんが片手でワインを注いでる。
本当に執事に見えて、興奮しそうになる。


「前にブライダルの手伝いで、サービス係だってよ。あいつ、そういう資格持ってたし」

「……ブライダルってことは結婚式? CMとかで見たけど、やっぱりカッコイイね」


下手したら主役よりも目立ったんじゃないか?


「兄さんも行ったの?」

「いや、知り合いが内緒で撮ったのを送ってきてな。サマになってるよな」


こんな執事がいたら、人生も楽しくて仕方がないだろうな。
まあ、執事を雇うだけの質も品もないのだけど。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ