クール時々、電波
□帰省・2
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「奈々ちゃん、これ見て」
兄さんが寝る直前に見せたケータイの画像に私は鼻を押さえた。
「なにこれ、すっごくカッコイイ」
「だろ?」
「執事のコスプレ? 凌くん、そういう趣味があったの?」
カメラで撮ったらしく、綺麗にスーツみたいなものを着飾った凌くんが片手でワインを注いでる。
本当に執事に見えて、興奮しそうになる。
「前にブライダルの手伝いで、サービス係だってよ。あいつ、そういう資格持ってたし」
「……ブライダルってことは結婚式? CMとかで見たけど、やっぱりカッコイイね」
下手したら主役よりも目立ったんじゃないか?
「兄さんも行ったの?」
「いや、知り合いが内緒で撮ったのを送ってきてな。サマになってるよな」
こんな執事がいたら、人生も楽しくて仕方がないだろうな。
まあ、執事を雇うだけの質も品もないのだけど。