ウィッチーズの本棚2

□ストライクウィッチーズ〜翼を失ったウィッチ〜 第二話
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 アルステーデ・R・クレヴィングが501へ来て早2日。実は、彼女が使うはずのストライカーユニットが手違いで届くのが遅れてしまい、今までは予備の機体を使っていたのだが、ようやく今日届くらしい。食堂で朝食をとっていたクレヴィングに、そう伝えるバルクホルン。

「向こうの話では、以前クレヴィングにテストしてもらった機体が完成したから、それを使ってほしい、とのことだ」

「へえ、クレヴィングはテストパイロットもしていたのか」

 クレヴィングの向かいに座って山盛りの塩ゆでジャガイモを食べていたシャーリーが、感心した声を出す。

「教官をしていたときに、意外に適正があったために頼まれただけだ」

 自分もジャガイモを一口かじり、クレヴィングは続ける。

「教官をしていた間はその機体を使っていたが、実戦ではまだ使われていないはずだ。完成したといっても、おそらく実戦データのテストも兼ねているんだろう」

 食事を終え、ポケットから煙草を出しライターをを出したところで、軽く舌打ちする。

「どうした?」

「ライターのオイルが切れていたのを忘れていた。…仕方ない、整備班からもらってくるか」

 煙草をしまい、立ち上がるクレヴィングに、バルクホルンは忠告する。

「機体が届くのは約一時間後だ。忘れるなよ」

「ああ、分かってる」

「それじゃあ、アタシはハンガーにでも行くか」

 クレヴィングに続き、食堂を出るシャーリー。

「なあ、クレヴィング。新しい機体ってどんなんだ?」

「説明は、実物を見てからの方が早い。…まあ、他のヤツとは色々と違うところがあるな」

「へー…。お、着いた、着いた」

 格納庫へ着いたクレヴィングは整備兵の所へ、シャーリーはハンガーへ向かう。

「悪いが、このライターにオイルを入れてくれるか」

「はい、分かりました。少しの間、お待ちください」

 ライターを預けたクレヴィングは、近くの壁に寄り掛かる。無意識にポケットに手を伸ばすが、今は吸えないことを思い出し、仕方ない、と反対のポケットから小さな包みを取り出した。包みを開くと、板状のガムのようなものが数枚入っていた。

「ねえ、それなに〜?」

 一枚を口に含もうとしたクレヴィングの前に、ルッキーニが現れ、包みを覗き込む。

「…これは噛み煙草だ。お菓子じゃない」

「ぶー、お菓子じゃないんだー」

 がっかり、と肩を下ろすルッキーニ。それを見たクレヴィングは、おもむろにポーチを開ける。

「…ホラ」

「うじゅ?あ、チョコレートだ!」

 ポーチから出した銀紙に包まれたチョコレートを、ルッキーニに渡す。

「持っていけ」

「全部もらっていいの?」

「ああ」

「ヤッタ!ありがと!」

 チョコを受け取ったルッキーニは、すぐにどこかへ走り去っていった。

「大尉、お預かりしたライターです」

「ん、ああ」

 やってきた整備兵からライターを受け取ったクレヴィングはそのまま格納庫を出ようとして、整備兵に呼び止められた。

「中佐より、ここで待っているように、とのことです」

「…分かった」
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