ウィッチーズの本棚2

□ストライクウィッチーズ〜翼を失ったウィッチ〜 第一話
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「起きろ!ハルトマン!」

 基地内にある居住棟の一室で、少女の声が響く。その部屋は二人用なのだが、ちょうど部屋の中心に木の柵が置かれ部屋を分割している。その片方は綺麗に整理整頓されているのだが、もう片方は、本やお菓子の袋など様々なものが積み上げられゴミ屋敷と化している。

「うーん、あと70分・・・」

 そのゴミ屋敷のなか、かろうじて見えるベッドから、ねむそうな声が発せられた。

「いいかげんしろ、ハルトマン!貴様、それでもカールスラント軍人か!」

 部屋の入り口で仁王立ちになっている、ブラウンの髪を後ろで二つに結わえた少女は、カールスラント空軍所属のゲルトルート・バルクホルン大尉。隊長であるミーナの副官も務めている。ジークフリード線と呼んでいる柵を乗り越えたバルクホルンは、ベッドに積んである物をかき分け、一人の少女を引っ張り出した。

「あと90分ー・・・」

「そんなに待てるか!・・・というか増やすな!」

 とうとう怒りの頂点に達したバルクホルンは、少女の肩を掴んで揺さぶる実力行使にでた。

「起きろ!起・き・る・ん・だ!」

「うー・・・はいはい、起きますよー」

 さすがに寝ていられないのか、ようやく目を開けた金髪の少女、エーリカ・ハルトマン中尉。一度空に上がればことごとく敵を殲滅するスーパーエースなのだが、普段はずぼらな私生活を送るすちゃらかエースである。

「やっとか・・・。早くしろ、ミーナが呼んでいた」

「ミーナが?今日なにかあったっけ?」

「分からんが、急な用事らしい。ほら、早く着換えろ!」

 バルクホルンに急かされ、しぶしぶ軍服に着替えたハルトマン。

「着替えたよー」

「よし、ミーナのところへいくぞ!」
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