ウィッチーズの本棚2
□ストライクウィッチーズ〜翼を失ったウィッチ〜 プロローグ
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深く蒼い、ブリタニアの空。
白く真珠のように輝く、夏の太陽。
風がかすかに草の葉をゆらす、緑の草原。
そんなターナーの名画をおもわせる風景のなかに、連合軍第501統合戦闘航空団、ストライクウィッチーズの基地はあった。
そんな風景とは関係なく、基地内の司令室では、執務にふけっている少女がいた。
「・・・ふう。少し、休憩しようかしら」
手に持っていたペンを置いて、大きく伸びをしたその少女は、この第501統合戦闘航空団、ストライクウィッチーズの隊長、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐である。
「これ、今日中に終わるのかしら・・・」
一向に減る様子のない書類の量に、重いため息をつく。
コンコン。
「はい、どうぞ」
「失礼します。ヴィルケ中佐、追加の書類を持って参りました」
兵士が書類を抱えて入ってくる。
「・・・そこに置いてちょうだい」
顔をしかめてこめかみを押さえるミーナ。なんだか頭痛もしてきた。
「上も少しくらい考えてくれても・・・、あら?」
兵士が退室し、紙の山に何気なく視線を向けたミーナは、一番上の書類を手に取った。
「これって、異動連絡書?」
その書類には、新しく501へウィッチが出向することなどが記載されていた。
「出向日は・・・今日!?」
思わず声を上げるミーナ。いくらなんでも早すぎる。色々と考えることはあったが、とりあえず続きを読むことにする。
「出向するウィッチは、カールスラント空軍所属で、階級は大尉。名前は・・・」
そこで、ミーナの目は丸くなる。
「アルステーデ・R・クレヴィング。・・レスティ!?彼女が、501に?・・・トゥルーデとフラウにも知らせないと!」
そう、新しく501にやってくるのは、ミーナたちの昔からの戦友である少女だった。