番外編と短編の本棚
□翼を失ったウィッチ番外編〜ひと時の安らぎを〜
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「ふあ〜・・・」
夜間哨戒を終えたサーニャは、宿舎の廊下をおぼつかない足取りで歩く。
ガチャ。
ほとんど閉じられた瞳で一つの部屋を確認したサーニャは、ドアを開けて中へ入る。
パタン。
ドアを閉め、ベッドへ一歩向かうごとに服を脱いでいき下着だけになったサーニャは、そのままベッドへ倒れこんだ。
ボフッ。
「…ん、なん…だ…?」
突然ベッドを襲った衝撃に目を覚ますクレヴィング。身体を半分起こし周りを確認したクレヴィングは、横で寝ているサーニャに気づく。
「…なぜ、サーニャがここに…。…ああ、夜間哨戒だったか」
おそらく、寝ぼけて部屋を間違えたのだろう。ふと視線を上げると、転々と脱ぎ捨てられている服が視界に入る。
「…やれやれ」
仕方ない、とクレヴィングは立ち上がり、落ちている服を畳み始める。畳み終えた服をテーブルの隅に置き、視線を小さく寝息を立てているサーニャに向ける。
「起こすのは、さすがに可哀想だな。…まあ、いいだろう」
先ほどまで自分が寝ていた所にある毛布を取り、サーニャに掛ける。
「…これで良し。さて、後は…?」
ベッドから離れようとしたクレヴィングは、夜着にしているワイシャツを見る。すると、ワイシャツの裾をサーニャの小さな手が掴んでいた。
「…スゥ、スゥ…」
「…ハァ、仕方ない」
ほんの少し苦笑したクレヴィングは、サーニャの手を外さないように、ベッドに横になる。いつもは無い温もりを感じながら、クレヴィングは静かに瞼を下ろした。