ToLOVEる 改

□第一話
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「危ない!!」

そのとき、下校途中の女子生徒の一人が大きな声で叫んだ。
その生徒を観察すると学校の上を見ながら叫んでいることが理解できた。
僕はそちらを向いて上を見上げると一瞬、オレンジ色に光る物体を見つける。
隕石が燃え尽きる瞬間だったのかと思ったが、それは徐々に大きくなってこちらに接近してきていた。

「リコ、春菜――僕の後ろへ……」

「え、え?」

「春菜ちゃん! 早く!!」

いつもと違う雰囲気で告げた僕に春菜は戸惑っているようだが、リコはその指示に従う。
春菜の手を引っ張って僕の後ろへと移動する。ちょうど周りには誰もいない空間が出来上がっている。

「でもユーリ君が……逃げないと!」

あれは見たところ宇宙船。
どこかで見た記憶がある。まぁ、今考えるべきではないだろう。
周りの生徒は落ちてくる宇宙船へと視線を向けているから僕への注目はほとんど無に等しい。

何もない空間に手を突っ込む動作を行い、そのまま宇宙船に向けて振り抜いた。

「(あれ? 今ユーリ君の手に何か)」

そして一定距離に宇宙船が近づいた瞬間、中心から左右に分かれて真っ二つになった。
何が起こったのか理解している者はいないはずだ。ただ、急に宇宙船が真っ二つになったという結果のみを知っただけのはず。

「さぁ、帰りましょう。何やら僕たちの目の前で急に左右に分かれてしまいました。それに誰もケガをしていないので……問題ありません」

「??」

「そ、そうだよな」

春菜は未だに頭に"はてな"マークを浮かべて疑っているがリコは同意する。
そのまま、途中まで春菜と一緒に帰り分かれ道で別れた。

「なぁ、ユーリ。さっき……何したんだ?」

「ただ、斬っただけですよ。ほかの人達には早すぎて見えなかったと思いますけど」

「斬った!? あれを!」

「あれくらいならね」

そう。僕がやったのは光の屈折を利用し、何もない空間(倉庫)から特殊な石を使って作り出した魔刀と呼ばれる刀を振り抜いただけ。
だからこそ、宇宙船は真ん中から二つに分かれたのである。
リコは僕が何かしたということには気づいていたけど、やったことまでは理解できていなかった。

「ほんとにユーリって何者なんだ?」

「さぁ、想像に任せますよ。ただ、人間だということは間違いありませんね」

「そっか。でも、今はそばに入れるだけで私は――

僕は正真正銘の人間ですし、何者と言われても異世界から来た者ですっと正直に話すのも……。
リコは人間という回答で納得してくれたようだけど、最後に呟いた言葉までは聞きとることはできなかった。
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