ToLOVEる 改

□第一話
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幾度となく世界の壁を越えて新たな世界へと訪れていた。しかし、それはいつも100%の確率で成功するという訳ではないことを知っている。
それがまさかこの世界へといくために行った異世界転移で発生してしまうとは思いもしなかった。


ここは地球。
異世界転移で何度も最初に訪れるときに降り立つ場所だ。もちろん、世界が違うので文化レベルの違いがある。ここはごくごく平和で何事もないような所だということがすぐにわかった。

そして一番問題なのが……僕が結城家の長男となっていることである。
調べてみると僕が家の前で倒れており、身よりもないことから父親が養子として引き取ってくれたんだとか。
はっきり言って自分が倒れていた記憶はない。もしかすると世界単位での認識がズラされたのかもしれない。

家族構成が……

父親が結城才培
母親が結城林檎
"長女"が結城リコ
次女が結城美柑
そして僕が長男として加えられているのだ。

しかも彩南高校の一年生として学校へ通っている。リコと一緒のクラスで……。
学力の方も世界を渡るたびに学習しているので大学へ行っても通用するレベルだと言っておこう。

「ユーリ、もう下校時間だぞ? 帰らないの?」

「リコ……そんな時間でしたか。本を読んでいると時間を忘れてしまうのは直さなければいけませんね」

「そ、そんなことないぞ(直されちゃったら集中してるときの横顔が見れなくなる)」

もう下校時間だった。
学校で休み時間はほとんど読書をしているから時間を忘れてしまう。
先生もどれだけ難しい問題を当てても答え返してくる僕に悪くは言ってこない。
特に問題視されてないなら気にする必要もないのだ。

リコも声をかけてくれたのだから――帰るとしよう。

「では帰りましょうか。特にどこに寄っていく予定もありませんし」

「そうだな(て、手を繋ぎたいけど……恥ずかしい)」

「ん?」

リコが何やら顔を赤くしたりしているけど、気にしないでおこう。今はね。
一緒に下駄箱まで歩いていき、靴に履き替え校門の方へと向かう。
すると僕とリコに向かって手を振っている青紫色のショートヘアの女子生徒を視界に捉えた。

「あ、春菜ちゃんだ! おーい」

「リコ、ユーリ君」

彼女は西連寺春菜。
同じクラスでテニス部に所属している。性格もかなり優しいことが見受けられる。

「どうしました?」

「うん、途中まで一緒に帰りたいかなって」

「私は問題ないよ」

「僕も用事もありませんので構いません」

どうやら途中まで一緒に帰るために校門前で待ってくれていたようだ。
断る理由もないので三人で一緒に帰ることになった。
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