Book.

□バレンタインですね・続
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零崎は、そんなぼくの悶絶に気づいてないらしく、
「いーたーんっ?」
なんて気軽に呼んで来る。
いつもに比べたら、少し声は硬かったけど。
…あーもう!
そろそろ、限界がきそう、いやもうきてる。
…なんか、もう、いいかな。
本当もう、いいや。
ぼくは。
大人気だとか。
理性だとか。
そんなもの全て、―――かなぐり捨てた。
「…零、」
「ん?―――――っ」
ぼくは驚く零崎に構わず。
無理矢理に口づけた。
固く口が閉じているのをこじ開けて、咥内に舌を入れる。
弄んでみる。
零崎は最初拒んでいたが、途中で力つきたのか、抵抗しなくなった。
薄目を開いて零崎を見ると。
その顔は真っ赤で。
息苦しそうに、目をぎゅっと閉じている。
…あれ。
あれあれ。
本当は、もう少しさっさと終わって、からかうつもりだったのにな…。
方針変更。
こんな可愛い反応されては、…仕方ないと思うんだけど?
「…っ、やめ、いー、っはぁっ…」
息をつく間もほんの一瞬だけ。
その刹那に漏れた息の色っぽさが。
ぼくの背筋を舐め回す。
…こいつは男か?
こんな同性誘ってどうしたいんだ?!
やばい。
かなりやばい。
このままベッドに行きたい。
めちゃくちゃにしたい。
でも、ぼくは何とかその衝動を抑えて、もう一度口を塞ぐ。
「…―――ふっ、ぃー…た、」
「…エロすぎ」
口を、離して。
耳元でそう囁いてやれば、熱されたように顔を紅く染める。
ぼくは改めて零崎をよく見る。
赤黒い目は、潤みきっていて。
手は忙しなく髪を弄っている。
顔は相変わらず朱色のまま。
首元も、晒されたままの状態。
……。
どうしよう。
今すぐもう一回キスしてもっと困らせてみたい…。
ぼくにこんな新しい才能があったとは驚きだ。
ドS発覚・戯言遣い。
「…も、やめろよっ…」
なんて。
そんな必死の形相で言われたら。
そんな誘ってるような顔で言われたら。
そんなの。
逆に、…ねぇ?



「やなこった」



* * * * *

後日談。
零崎の腰痛は治るのに一週間かかったそうな。
「いーたんなんかっ、だいっきらい!!」
「その顔もいいね。次はどうしたい?」
「黙れ変態っ!」



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