Book.
□馬鹿じゃねぇの
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ぼくは大学から出た。もう7時をとっくに過ぎていた。
辺りには、酔っぱらいくらいのやつしかいない。コンビニの明かりがやけにまぶしく感じた。
と、その中に、知っている人影を見つけた。
「零崎?」
そこには、顔面刺繍が目立つ一概の殺人鬼、零崎人識がいた。
と、いうか。
零崎は、コンビニの中のチョコを吟味しているようだった。
何やってるんだあいつ。
どんだけ甘党なんだよ。
「おっ。いーたんじゃん。やっほー」
零崎はそう言いながら、コンビニから出てきた。
「やっほー」
と、とりあえずそう返しておいた。
「てか、何でここにいるんだよ?警察に指名手配されてるんだろ?」
すると、零崎はぼくをギロリと睨みながら言った。
「指名手配されてるのは、どっかのだれかさんのせいなんだけどな」
ぼくは、それをサラリと受け流した。
「へええ。いったい誰だろうねえ」
怖い怖い、とぼくは両手を広げて首を振った。
零崎はため息をついた。
「ま、いいよ別に。で、俺がここにいる理由だっけ?」
と零崎は話を戻した。
心の広い殺人鬼だな、と言おうとして、やめた。
「うん、そうだよ」
なんせ今までこの京都で起きた切り裂きジャックで、なんと12人も解体されたのだ。
まあ、その切り裂きジャックはこいつなんだけど。
で、警察は躍起になって犯人を捜しているわけだ。
もちろん、零崎はそれを知っている。知っているのに、なぜまだ京都にいるのか、ぼくは不思議だった。