突撃!? 隣の十三隊♪

□俳句と干し柿の三番隊
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「どーもー。リポーターでお馴染みの紬でーす」
「解説の愛胡です」

 今回は外からのスタートではなく、ふたりは既に室内にいた。
 長い廊下を歩いており、周りの隊士らは戸惑いながら道を空けていく。

「さーて今回はここ、3番隊の隊舎にお邪魔しましたー」
「事前に許可は?」
「取ってないよー」
「やっぱり……」

 今回も例に漏れず、アポなしで収録が開始されたようである。

「えっと、ギンちゃんの部屋ってどこ? ここ? え、こっち? そっち? どこだよ!?」
「だからそこっつってんでしょ!」
「分かりづれーんだよ! もっと分かりやすくカンペ書け!」

 少しカンペのスタッフと言い争った後、紬は何事もなかったように笑顔を作った。

「えー、ここがギンちゃんの部屋だそうで……ん?」

 ギンちゃんという人物の部屋らしき戸に貼紙がしてあった。
 可愛らしいキツネの絵も描かれている。

「散歩に行ってるで〜、だってさ」
「もう、だからちゃんと前以て伝えておかないから」
「だってこういうのって、突然お邪魔した方が面白いじゃん」
「じゃあどうするの?」
「うーん(゚-゚)……あ!」

 何か閃いたらしく、紬はぽんっと手を打った。

「ヤンデレ探そう! ヤンデレにまず話してさ」
「吉良副隊長? どこにいらっしゃるかな? 執務室?」
「うん、じゃあそっちに行ってみよう!」

 歩きだした紬の後を追うように、愛胡とカメラがついていく。
 すると、廊下の向こうから誰かが走ってきた。

「朝日向さんー!」
「おーう! いいところに。今探しに行こうって思ってたんだ!」
「も、もしかしてこれ、『突撃!?隣の十三隊♪』の収録ですか?」
「そうそう!」
「やっぱり。隊士から聞いて来てみれば……本当に急なんですね」
「そこが面白いんだろー。んで、ギンちゃんは? 散歩に行ってるらしいんだけど、いつ頃帰ってくるっぽい?」
「散歩? 通りで見当たらない訳だ……。すみません。いつ戻ってくるか分かりません。いつもふらっとどこかへ行って、ふらっと戻ってくるんです」

 彼は体調が優れないのか、顔が青白く体も怠そうだった。

「ふーん、じゃあ仕方ないか。じゃあちょっと待たせてよ」
「分かりました。こちらへどうぞ」
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