突撃!? 隣の十三隊♪

□美形おっさんとキュートちゃんとアゴヒゲの十三番隊
2ページ/3ページ



「仙太郎は、こちらで臥せりがちな俺に代わり、隊を纏めて日常業務を担ってくれている。とても頼りにしているよ」
「勿論ですよ隊長!! どうぞ俺に全てを任せてください!!」

 浮竹の言葉に喜び、立ち上がって意気込む小椿。
 彼が喋るときだけ、自動的に音量の下がる機能が欲しい。

「そして、虎徹清音さんは小椿さんと共に、浮竹隊長をバックアップしている方です。とても明るくはきはきとしていて、一緒にいて楽しい方なんです」
「清音にも常に世話になっている。仙太郎だけでは何かと不安に思うことがあれど、清音がいてくれれば安心して休んでいられる」
「どういう意味ですか隊長ォ!!」
「勿論ですよ隊長! 小椿なんかいらないくらい私に全てをお任せください!!」
「何だと虎徹!!」
「何よ! 何か文句ある?」
「ご覧の通り、十三番隊はとても絆の強い、互いに信頼し合っている隊なのです。そして小椿さんと虎徹さんによって、明るい雰囲気になっていますね」

 明るいというか、賑やかというか、小椿が喧しいというか。
 しかし、小椿と虎徹がよく張り合うことがあるみたいだが、ふたりとも浮竹のことをとても慕っており、浮竹もふたりのことを信じているということが分かった。

「あとね、人数多くなるしどうするかなーって思ってたんだけど、でもうちにも協力してくれたし、うちらとめっちゃ仲がいいしで、やっぱ紹介することにしようかと思うんだけど」

 彼女達と仲がいいと言えば、あの人物しかいないだろうか。
 その発言に、愛胡達も穏やかな表情をしているので、紬に対して異論がないことが窺える。

「ああ、俺達の大事な仲間だからな」
「何だかんだで、結構活躍してるしな!!」
「準主人公だもんね! じゃ。入ってきていいよ〜」

 紬が声を掛けると、カメラの後ろ側から戸が開く音が聞こえた。

「し、失礼します」

 緊張を孕んだ声だった。

「さあさあ、こっちこっちっ」

 紬が自分の左隣を示し、こちらに座るよう促す。
 そこに現れたのは、朽木ルキアだった。
 ルキアは十三番隊の隊士であるし、先日の十一番隊の収録では愛胡に代わって解説をしていた。
 彼女は先日と同様に、緊張している様子である。

「彼女はみなさんもご存知のとおり、ここ十三番隊の隊士です! この前、十一番隊のところに行ったとき、愛胡の代わりに解説をやってくれたよね。プライベートでも、あたしと愛胡とめっちゃ仲がいいから、やっぱり一緒に紹介しないと!」
「しかし、私は所詮、官位を持たない平隊士であるし……」
「そんなの関係ない! 大丈夫、ここでルッキーが出演することを批判する奴は絶対にいないから。な?」

 勿論自分も、彼女が出演して批判する気持ちなどない。

「だが……」
「ルッキーは、このあたしが認めた女の子なんだ。今はただの平隊士だけど、その実力はもう、隊長になっちゃうくらいって踏んでる。勿論、浮竹のおっさんが隊長に相応しいってことも分かってるけど」
「確かに、朽木はよくやってるぜ! これからもっと力がついていくと、俺が先に思ってた!! 勿論、浮竹隊長がこれからもずっとうちの隊長だけどな!!」
「私も思ってた! 朽木はすごく努力家で才能もあるって、最初から気付いてたよ。勿論、わた、うちの隊長が未来永劫うちの隊長なんだけどね!」
「ああ、朽木はよくやっている。俺も今後の成長が楽しみだ」
「う、浮竹隊長までっ。勿体ないお言葉です」
「あたし、思うんだけどさ。ルッキーが平隊士のままなのって、クッキーのせいなんじゃない?」
「いやあ、あっはっはっは」

 急に浮竹が笑い出した。
 図星ということか。

「どういうことだ?」
「いやさ、席官ってそれなりに強くなければなれないけどさ、それと同時にやっぱり危険なことが多いじゃん? だから、妹大事すぎるお兄様がルッキーがそうならないためにストップをかけてるんじゃないかと」
「い、妹大事すぎるお兄様って……」

 それは、ルキアの義兄である朽木白哉のことだろうか。
 妹大事すぎるとは、意外な事実である。
 何やら霊圧が変化してきた。

「まあ、確かに朽木隊長はお前のことを心配していたぞ」
「兄様が……」
「朽木隊長は、すごくルキアちゃんのことを大切にしているんだね。朽木ルキアさんは十三番隊の隊士で、皆さんが仰る通りとても才能のある方です。聡明で落ち着きのある死神で、でも可愛らしいものが好きで、愛嬌があるんです」
「うちらふたりとあと雛桃と4人で美少女同盟を組んでるくらい、仲がいいんだよね! そして、この前十一番隊に突撃したとき、愛胡の代わりに解説を担当してくれたし、結構ノリのいい子だよね」
「ノ、ノリがいいって……ただ頼まれたからやっただけで」
「うん、すごく仲間思いの女の子なんだよねっ」

 この間の回は、慣れないテレビに緊張したりしていたが真面目に番組に取り組んでいたし、今回は自分が周りに褒められて恥ずかしがっている。これらの姿を見るに、彼女はとても好感の持てる死神だと感じた者が多いだろう。

「いや、そんなことはない」

 首を振るって否定するルキア。

「私はそのような立派な存在じゃないんだ。ただ、恵まれた環境にいるだけで……。十三番隊は、私にとって温かいところで家族のような存在で、私はこの隊に所属出来てとても幸せです。この十三番隊は、私がいつまでも居たいと思えるような、そんな隊です」
「朽木……!!」
「朽木……っ」

 小椿と清音が感極まり、浮竹も目を細めてルキアを見つめる。

「うんうん。十三番隊は、すごく温かい気持ちになれる、とっても素敵な隊なんだな」
「どの隊も皆、仲が良く、絆の強いところですが、こちらは更に家族のような関係の隊なんですね」

 今回は、こちらまで優しい気持ちになれる放送だった。
 
「いやあ、十三番隊は何も起こらないいい隊だったな」
「そういや、今日が最終回なんだろ? まさにトリに相応しい隊だな、うちは!」
「でも、大丈夫だろうか。何も面白いことが言えなかったんだが」
「いえ、隊長はそんなこと気にしなくていいですよ。小椿の存在自体が既に面白おかしいんですから」
「確かに!」
「いや、どういう意味だよ!!」
「さ、さて……」

 苦笑しながらやりとりを見ていた愛胡だが、カンペに気付いたようで気を取り直す。

「『突撃!? 隣の十三隊♪』も今日で最終回です。十三番隊の皆さん、ご協力ありがとうございました。お茶の間の皆さんも、今日までご覧いただき、本当にありがとうございます」
「じゃ、最後にルッキー、何か一言!」
「え、わ、私が!?」
「派手な一言をかましてやれ、朽木!!」
「ええっと……兄様、いつもご心配いただき、本当にありがとうございます。お陰様で、こちらでとてもよくしてもらっています。また今度屋敷に伺わせていただきますので、ご一緒に食事でもどうでしょうか。これからもよろしくお願いします」
「はーい、とってもすてきなブラコンシスコンの朽木兄妹でした〜」
「何でそうなるんだよ――!!」

 結局、小椿の大声で放送が終了した。
 と思ったら、一緒に見ていた隊長が急に突っ伏した。

「隊長――!?」




あとがき→
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ