突撃!? 隣の十三隊♪
□恥ずかしがり屋とかわいこちゃんの十二番隊
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「これから護廷十三隊に所属する死神達の斬魄刀についてクイズを出します。それを、あたしとマユリンで早押しで答えて競うコーナーです」
「はあ? 何だかよく分からないが、斬魄刀の知識に関しては、私の右に出るものはいないということは分かっているのかネ」
「はーい、じゃあ、ハゲカンペ、愛胡に問題の用紙お願い」
マユリを無視しつつ、カンペへ指示する紬。
「だからハゲは余計だっつの!」
「はい、お約束をありがとう。愛胡よろしくね」
「うん」
「で、ヤンデレ。早押しボタン、はよ」
「す、すみません」
再び手前から、早押しボタンというものがふたつ差し出された。
「はい、マタドーラ、持って」
何が何だか分からないまま、マユリはとりあえずその早押しボタンを受け取ったようである。
「では、今から愛胡に問題を出してもらいます! マユリン、分かった時点でこのボタンをピンポーン! って押して答えるんだよ」
「フン。くだらないネ」
「マユリン、全死神の斬魄刀を知ってるんでしょ?」
「勿論だヨ。全ての斬魄刀の性質や特徴、卍解などのデータをインプットしているからネ」
流石は我らが隊長である。
紬は誰に勝負を挑んでいるのか、分かっているのだろうか。マユリに敵う訳ないのに。
「じゃあ、さっそくいってみよう! 愛胡お願い!」
「はい」
紬の呼びかけに、愛胡が手元の紙へ目を向ける。
「では、まず最初は、初級編から3問出題します。第1問。六番隊隊長朽木白哉の斬魄刀――」
「はい!」
紬が、問題の言い終わる前に勢いよくボタンを押し、ピンポーンと大きく鳴る。ボタンが押されると、赤い〇の描かれた棒が起き上がるギミックだった。
問題は、朽木白哉の斬魄刀の名前は何か、だろうか。
「私の斬魄刀の名は、『千本桜』」
ご丁寧に声帯模写まで披露した。
「正解!」
「よっし! こんな感じで、バイキンマンも分かった時点で素早くピンポーンするんだよ」
「実にくだらないネ……」
「全部の斬魄刀知ってるくせに、1問も答えられなかったら恥ずかしいよ?」
「……」
「はい、愛胡次行こう!」
「はい。では、初級編第2問。十番隊隊長日番谷――」
そこでピンポーンと鳴る。
マユリが紬より早く押したようだった。
「『氷輪丸』」
「正解です!」
「やるじゃん。さすがフリーザ様!」
「誰だネそれは」
「では、初級編、最後の問題です。二番隊隊長――」
マユリのボタンが、大きく鳴り響く。
流石我らが隊長。最早、問題を最後まで聞く必要などないのである。
「『雀蜂』」
「正解です!」
「お〜、さすがじゃんキール」
「だから誰なんだネ」
「それでは、次から中級編です。第1問。九番隊隊長――」
再びマユリのボタンが炸裂。
「ああ〜、ドレッドの何だっけェ!?」
「『清虫』」
「不正解です!」
「何……だと!?」
「わぁい! マユリン、1回休み〜」
「馬鹿な!?」
問題は、東仙要の斬魄刀の名は、ではないのだろうか。
それにしても、自分は護廷十三隊の死神達の斬魄刀など全く詳しくないので、中級編といえども難度が高い。寧ろ、初級編からして難しかった。
「えっと、すみません。問題を最後まで聞いてください」
「クソッ……」
「そうそう。早押しなんだけど、問題を最後まで聞かないと分からないところも、早押し問題の難しいところっ」
「では、九番隊隊長東仙要の斬魄刀の解号は?」
なるほど。次は解号ときたか。
「あああ、なんだっけ! 確か誰かと同じか似てるヤツだった気が……え〜っと」
頭を抱えて考える紬。
「あと10秒。9、8、7……」
「ああぁああ」
「早く答え給え」
「間違えたスニフは黙ってて!」
「だから誰だネ」
「3、2、1」
「イチかバチか! なけ『清虫』」
ボタンを押し、声帯模写は忘れない紬。
「正解!」
「やったあっ! 『なけ』の字分かんなかったけど! どういう字だったっけ?」
「早く次にいき給え」
「では第二問。六番隊副――」
「はい!!」
紬がいち早くボタンを鳴らす。
六番隊副隊長ということは、阿散井恋次の斬魄刀についてだろうか。
「どっちだ? さっきの問題からすると解号か? いやでも……」
「あと10秒」
「ええいままよ! 咆えろ『蛇尾丸』!!」
「不正解!」
「あああ違ったかああああ」
「解号ではないとすると……卍解の名か? いや、これで朝日向の回答権がなくなったから、最後まで聞くか」
「では、六番隊副隊長阿散井恋次の斬魄刀の本体の姿は?」
「あー本体かぁ」
ここでマユリが律儀にボタンを鳴らす。
「狒狒だネ」
「正解です!」
「くそ、くやしいッ」
「では、中級編最後の問題です。七番隊隊――」
「はいぃぃいい!!」
紬が素早くボタンを鳴らした。
七番隊隊長の狛村左陣についてだろうし、自分の恋人だから、何が何でも答えたいのだろう。
「答えたいけど、問題が分らん!!」
「分からないなら押さないでよ」
「分からないなら押すな」
「解号? 卍解? 本体? それとも他の?」
「あと10秒。9、8、7……」
「んんんん……愛のパワーで答えてみせるっ。卍解――『黒縄天譴明王』」
「…………」
ここに来て、初めて愛胡が焦らす。
「――正解!」
「やったああぁあああ! 全然真似上手くできなかったけど、よかったあ!」
自分にしてみれば、十分上手かったと思う。
「問題は、七番隊隊長狛村左陣の卍解の名は、でした。えっと、これは紬への忖度問題のようです。紬が全く答えられないということがないように、と」
愛胡が視線を少し下げてそう述べる。どうやらそうカンペに出たようである。
「なんだソレッ。失礼だな! 全然全部答えられるし!」
「五月蝿いネ。早く次の問題にいき給え」
「はい。では次は上級編です。第1問、八番隊隊――」
両者共にボタンを押す。ほぼ同時に〇の棒が起き上がったように見えた。
「どっち!? あたしだよね?」
「私に決まってるじゃないか」
「えっと、では、スタッフ判定お願いします! 涅隊長が早かったと思う方――」
映像を見る限りでは、ネムが手を挙げた。
自分はよく見てなかったが、マユリであってほしい。
「はい、全員手を挙げたので、涅隊長どうぞ」
「えええウソだぁああ」
「フム。京楽隊長についての問題か。だとすると――花風紊れて花神啼き 天風紊れて天魔嗤う『花天狂骨』」
「正解です!」
「分かってたのにぃ!!」
「五月蝿いネ」
流石我らが隊長。問題を正確に推理することが出来ている。
「では、第2問。五番隊第三席阿津坂紫月の――」
マユリがボタンを鳴らした。
「え〜、ちょっと待ってよー。早くない?」
「五番隊の三席か。それなら――消え去れ『泡沫』」
「正解です!」
「うわー、やっぱすごいな、マタドーラ。いやあたしも分かってたけど」
流石我らが隊長。
興奮して、思わず両手で拳を握った。
「流石ですね。では、最終問題です。十二番隊第四席鳥垣旭の――」
その瞬間、呼吸を忘れたし心臓が止まったかと思った。
画面からピンポーンと聞こえてくる。マユリが紬より早く押したようだった。
「うちの四席か――沸き上がれ『楓燐王』だネ」
「…………」
愛胡の長い溜めが入り、そして告げる。
「正解です!」
その言葉を聞き、思わず落涙。
自分の隊長が、自分の斬魄刀のことも知っており、そして答えてくれた。それだけで、得も言われぬ感動を生む。
「誰だよ鳥垣なんちゃらって。ズルくない? 自分ちの隊士って」
「喧しいヨ」
「それでは、得点の方が……紬が3問正解。涅隊長が6問正解です!」
「あ゛あぁああ負けたぁあ」
「フン。この私が負けるなんて、あり得ないことなんだヨ」
「涅隊長、おめでとうございます!」
おめでとうございます、我らが涅隊長。
自分は画面の前で拍手を送った。