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□キミはボクの全て〈美南〉
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京「いやあ、やっぱり桜を見ながら飲む酒は美味しいねェ」
八番隊隊長・京楽春水。彼が仕事をせず、酒を口にするのはいつものこと。
特にこの八番隊隊舎の庭に植えられた桜の下は、京楽のお気に入りである。
七「隊長、書類に隊長印をお願いします」
京「ん?ああ、今行くよ」
八番隊副隊長・伊勢七緒。仕事をしない彼を叱り、きちんと机に向かわせる一流秘書のような存在である。
時に厳しく、時に甘い。
そんな彼女を、京楽は心から好いている。
京「七緒ちゃん。よかったら一緒に飲まないかい?今日は、桜も綺麗だ」
七「……しょうがないですね…」
京「?」
七「今日だけですよ」
京「え?いいのかい?」
七「ええ……酌くらいならしてさしあげます」
京「それじゃ、頼もうかな」
京楽は手に持っていた盃の酒を飲み干し、七緒の前へ差し出した。
七「……隊長」
京「んー?なんだい?」
七「隊長は、桜がお好きですか?」
京「え?」
七「……よく、こちらにいらっしゃるので…」
目の前の桜を見ながら、七緒は京楽に尋ねる。
京「……そうだねえ。これを見るのは好きだよ。この桜を見てると、心が洗われるっていうのかな……やろう!っていう気になれるんだ」
喋り終わると同時に、京楽は先程同様盃の酒を飲み干した。
七「……それを飲んだら仕事してくださいね。私は先に仕事へ戻りますから」
京「まあまあ、七緒ちゃん。そう焦らずにのんびりいこうよ。はい、もう一杯」
七「貴方はのんびりやり過ぎです。さっさと仕事に戻ってください」
それ以上は何も言わず、七緒は瞬歩で仕事場へと戻って行った。
京「相変わらず厳しいねェ、七緒ちゃんは」
京楽は七緒に叩かれた頭を擦りながら、自分の言葉通りのんびりと隊首室へ戻って行った。