other

□キミはボクの全て〈美南〉
1ページ/8ページ

京「いやあ、やっぱり桜を見ながら飲む酒は美味しいねェ」

八番隊隊長・京楽春水。彼が仕事をせず、酒を口にするのはいつものこと。
特にこの八番隊隊舎の庭に植えられた桜の下は、京楽のお気に入りである。

七「隊長、書類に隊長印をお願いします」

京「ん?ああ、今行くよ」

八番隊副隊長・伊勢七緒。仕事をしない彼を叱り、きちんと机に向かわせる一流秘書のような存在である。
時に厳しく、時に甘い。
そんな彼女を、京楽は心から好いている。

京「七緒ちゃん。よかったら一緒に飲まないかい?今日は、桜も綺麗だ」

七「……しょうがないですね…」

京「?」

七「今日だけですよ」

京「え?いいのかい?」

七「ええ……酌くらいならしてさしあげます」

京「それじゃ、頼もうかな」

京楽は手に持っていた盃の酒を飲み干し、七緒の前へ差し出した。

七「……隊長」

京「んー?なんだい?」

七「隊長は、桜がお好きですか?」

京「え?」

七「……よく、こちらにいらっしゃるので…」

目の前の桜を見ながら、七緒は京楽に尋ねる。

京「……そうだねえ。これを見るのは好きだよ。この桜を見てると、心が洗われるっていうのかな……やろう!っていう気になれるんだ」

喋り終わると同時に、京楽は先程同様盃の酒を飲み干した。

七「……それを飲んだら仕事してくださいね。私は先に仕事へ戻りますから」

京「まあまあ、七緒ちゃん。そう焦らずにのんびりいこうよ。はい、もう一杯」

七「貴方はのんびりやり過ぎです。さっさと仕事に戻ってください」

それ以上は何も言わず、七緒は瞬歩で仕事場へと戻って行った。

京「相変わらず厳しいねェ、七緒ちゃんは」

京楽は七緒に叩かれた頭を擦りながら、自分の言葉通りのんびりと隊首室へ戻って行った。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ