文
□神<信者
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飛段はベッドであぐらをかき、こちらに体を向けた。
「なぁ、オレとリーダーって実は気が合うよな」
………は?
ペインはあまりの衝撃にその場を動くことができなかったが、相手の放った言葉を頭の中でぐるぐると反芻させた後にやっとその意味を理解した。
するとツカツカと無言で飛段の目の前まで近寄る。
飛段はベッドに座っているためペインを見上げる形になったのだが、明らかに彼の顔が怖い。いや、黒い。
「え…、な、何か気に障るようなこと言ったかァ?」
彼のオーラの異常な黒さにたじろぎ質問すると、彼の輪廻眼がくわっと見開いた。無表情だが明らかに顔の筋肉はピクピクと引きつっている。
さすがの飛段でも、この状況の悪さには気付かざるを得なかった。
『気が合う、と言ったか』
今、神の目は怒りによって神々しく光っている。
「え…っと、一応そう言ったんだけどー…」
がしっ!
ペインは飛段の胸ぐらを掴むと、それを前後に揺すり出した。
『毎度毎度私的な理由で場の空気を乱し、任務を終えて帰ってきたと思いきや大声を出して散々他人に迷惑をかけ、挙げ句の果てには小南の着替えを覗き見するような奴と俺が気が合うだと!?そこまでして俺を怒らせたいのか、それとも俺に虐められたいのかこの邪心マゾヒスト教が!!』
「な、なんか今日のリーダーは元気だな…。
そ、それに覗き見したわけじゃねェし、ジャ・シ・ン・教だ!リーダー色々と違うぜぇ!!」
『黙れ、秩序を乱すお前の異論など認めはしない。
…………ただ、
お前が俺と気が合うと思った理由だけは聞いてやらないこともない』
この言葉には飛段も意外に感じたようで、きょとんと目を丸くしたが、すぐにニタァと笑みを浮かべた。
「さっすがリーダー、床じゃなくベッドに投げるとことか、オレの話を聞いてくれるとか、何だかんだ言って優しいんん゙ん゙んんっ!!?」
『お前の破壊的な思考回路に興味が湧いただけだ。いいから早く言わないと、このまま鼻をもぎ取るぞ』
そう、今まさに飛段は神によって鼻をつままれている。
「わ、わかったって!わかったからこの手を離してくれ!!」
『フン…』
解放されれば、うう…いてぇ、と鼻をさすりながらも、ペインの若干(?)の優しさにどこか嬉しくなるマゾヒストであった。
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