文
□どきり。
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今回の任務で、顔や腕、背中など他にも多くの傷を負った。
任務は雲隠れのある一味を抹殺すること。
最近暁の情報を得ようと、里や山、他にも様々な手段で暁の痕跡を隈無く調査する姿が増え、リーダーであるペインから今のうちに始末しておく必要があると、サソリとデイダラに与えた任務であった。
いくつかに別れて調査をする一味を一人残らず探し出すことにも時間を要したが、何より皆なかなかのてだれで、雷遁の連携術に対処するのも困難を要した。
数日かけて一味を全て見つけ消すことに成功したが、最後とみられる連中に、デイダラは攻撃を食らってしまった。
──アジトへ帰る山中。
「雷遁はやっぱり苦手だ、うん」
『自分の弱点を知りながら、芸術だの爆発だの語って意地を張っているからだ。あいつらが最後で助かったな』
「ダンナだって同じ芸術家として、譲れないことはあるだろ?うん?」
『戦闘中に、しかも芸術がわからない奴らに言っても意味がないだろ。そんなことでオレの足を引っ張るなよ』
「なんだよ、そんなことって……」
腕の傷を押さえながら、身体の痛みと自分の不甲斐なさ、サソリの素っ気ない態度に、もう下を向くしかなかった。
『……そんなに落ち込まなくてもいいだろ、オレが悪いみたいじゃないか』
「べ、別に落ち込んでなんか……」
『…………』
「…………」
それから一切口をきかず、気まずい雰囲気のままアジトへ着くと、一室にはペインと小南の二人がいた。
『サソリとデイダラか。上手くいったか?』
『ああ、指示されていた一味を全員やった。大したことない奴らだったぜ』
サソリはちら、とデイダラを見た後、簡単に報告を済ませた。
「……。(ダンナの奴、自分だって傀儡をいくつも壊されていたくせに…!)」
デイダラはそっぽを向く。
ペインは報告を聞くと、服は汚れ、傷を負ったデイダラに目をやった。
『ご苦労だった。……デイダラは随分やられたようだな』
「やりづらい相手だったぜ、うん」
『コイツ、雷遁使いにはとことんダメだ。話にならん』
「っ!またダンナは……!言わせてもらうけどなァ、ダンナだって……」
すかさずペインが二人を制する。
『サソリ、あまり逆なでするようなことを言うな。……あとデイダラはそこにいろ。傷を診る』
「………」
小南はその様子にハァ、と半ば呆れたように小さくため息をつき、自分の部屋に戻っていった。
それに続き、サソリも傀儡の修理のために自室に戻る。
一室に残された二人、ペインは傷を手当ての準備を、デイダラは椅子に座り、ふてくされたようにテーブルに突っ伏していた。
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