文
□神<信者
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「リーダァー!おい、リーダーよぉ!!」
いつも静けさと緊張感がある空間に不釣り合いな、けたたましい声が聞こえる。
どこだぁ!という罵声に近い声がドアを通して近づいてくるのを聞くと、当の呼ばれている本人は小さくため息をついた。
暁を結成してから、まさに今叫んでいる男こと飛段には、ことある毎に手を焼いている。
まずあのテンションと彼のマゾヒストぶりは自分の理解を越える。
わざわざ自分から部屋を出るのも煩わしいので、相手が自分を捜し出してくれることを待つ。
「おーい、リーダァー!どこにいるんだよ!聞いてくれよぉ!なぁ!」
…ああ、本当に煩わしい。
声が近づいてきたと思ったら、また一度遠退く。
そしてドアを勢いよく開ける音がする。
数秒でバタンと閉じ、また遠くの方でドアの開ける音。
どうやら、片っ端から確認するようだ。
馬鹿な奴だと思う事すら馬鹿馬鹿しい。
そのうちここも開けられるだろうから、このまま放っておこう。
一方外からはドアを開ける度に「勝手に開けるな馬鹿が」やら、「少々五月蝿いですよ」やら他にも色々と罵る声も聞こえる。
誰か俺の部屋の場所を教えてやるような気の利く奴がいない事にも組織力の無さが伺えるが、強さを優先に集められた集団というのも考えものだ。
隣の部屋を開ける音がすると、「急に何をするの!?」という叫び声が飛んだ。
隣は小南の部屋だ。
「わりィ、着替え中とは知らなくてなぁ、ゲハハハ!」
…よし、次ドアを開けた時が奴の死亡時刻だ。
「お、ここが最後だな。おいリーダァー、入るぞ!探したz『万象天引!』
「ぐはァッ!!?」
扉を開けた刹那、待ってましたとばかりに相手を引き寄せ、首を思い切り締めあげた。
『ああ、俺もお前が来るのを待っていたぞ』
「ぅえッ!?…リーダーもっ、オレ、にっ…?」
『そうだ。生憎俺は今すこぶる機嫌が悪い』
「へぇ…ッ、失恋でもしたぐぇぇぇェ!!…ちょ!リーダー、首!クビぃぃ!!」
締めあげている手にさらに力を込め、そのまま奥のベッドに放り投げた。
「う!…はァ、ゲホッ、ゲホッ!…い、いきなり何なんだよォ!?」
『出来事はいつも唐突だ。理由は後になって気「いつもの名言はいいからさァ。あ、そうだ!オレ、リーダーに話があったんだ!」
…神羅天征にすればよかった。
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