小説

□Please call my name!
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『Please call my name!』



アラガミに脅えて暮らす現代で、ゴッドイーターは明日を得るための希望の光だ。
近年では、遠距離式と近接式の両方を兼ね備える『新型』神機も開発され、それらに適合する人間は、まだ10人を超えない希少な存在である。
そんな希少な存在の一人であり極東支部で初の『新型』である彼は、現在、とても深刻な問題をかかえていた。
最重要課題といっていい。
―――本人にとっては…だが。



「隊長に…名前を呼んでもらえない…」
「いまさらじゃねー?」
アナグラの食堂で遅めの昼食をとりながら『新型』は、その目下の問題についてぼやいていた。
付き合わされているのは同じ第一部隊のコウタだ。
「むしろ、誰にも呼んでもらえないんだけど」
「ドンマイ!『新型』!」
「同じ新型のアリサは名前で呼んでもらえてるのに!?」
「アリサ可愛いよなー。性格はちょっとアレだけど」
話題をそらそうとしたコウタであったが、それは裏目に出たようだ。
「え、俺が男だからダメなの?それとも可愛くないからダメなの?コウタみたいに可愛くないからダメなの?もしくはソーマさんみたいなツンデレが可愛いの?それが隊長の好みなの??」
「いや、別に俺もソーマも可愛くないから。リンドウさんの好みじゃないから」
冷静にツッコミを入れるコウタだったが、『新型』の暴走、もとい迷走は止まらない。
むしろどんどんヒートアップしていく。
「それともアレですか。俺の名前を呼ぶときは、二人で初めての朝を迎えたときって決めてるんですか。それまでは呼ばない二人だけの約束ですか。ファーストキスは海辺のホテルの最上階スィートルームのベランダで星のキレイな満天の夜空の下ですか。そうなんですか隊長。そうなんですね隊長!?それが隊長の愛だというなら俺は…!俺は…っ!!」
「うん、とりあえず帰って来い。冷静になろう」
なんでこんなヤツと同期なんだろう、とコウタは自身の不幸を呪った。
「だって、あともうちょっとでシナリオ13がきちゃうんだよ!?それまでにどうにかしないと!」
「うわぁぁぁ、シナリオとかいうなよ!」
俺たちがそれをいうのはタブーだ!とコウタが焦るが、もちろんマイウェイを突っ走る『新型』は気にしない。
「そこで俺は考えた。三日三晩、睡眠時間を減らして隊長の写真を眺めながら考えた。隊長の好みを変えるのが無理なら、俺が変わるしかないって。新しい俺を作るしかないって!」
「なに?セカンドキャラに女の子でも作んの?」
女の子に目がくらんだコウタが自らタブーを侵す。前半はもちろんスルーだ。
「いや、性別は男のままでいい。ただ、名前を『新型・ニュータイプ』にする。ちなみにコードネームはneo。俺ってば超頭いい!」
「なる…ほ…ど…?」
「じゃ、いってくるよ!」
そうして『新型』という名の嵐は去り、食堂にはコウタだけが取り残された。


―――数分後―――


「漢字…使えなかった…」
仕様という名の壁は高く、そうやすやすとプレイヤーの願望を満たしてはくれないらしい。
廊下の端っこでシクシクと落ち込む『新型』に、コウタがフォローした。
「…BURSTでは、漢字、使えるといいな」

(完)


(あとがき)
『新型』というよりは私の実話でしたww
秋にBURSTというゴッドイーターの進化版がでるらしいので、こういうところも進化してるといいな!
漢字が使えるよりは、隊長に名前を呼んでもらえる方が嬉しいんですけどね。

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