泣き声が聞こえた。 一人の少女の泣き声だ。 少女の前には、一人の青年が立っていた。 青年は泣いてる少女に向け、静かに語り出かした。 『今、キミの目から流れているモノが《涙》だ』 『今、キミがしていることが《泣く》という行為だ』 『今、キミの中にあるソレこそが《悲しみ》だ』 少女は泣きながら、青年の言葉に耳を傾ける。 青年は泣きじゃくる少女に向けて、語り続けた。 『苦しいだろう?』 『辛いだろう?』 『逃げたしたいだろ?』 青年の問いかけに、少女は小さく頷いた。 『でも、キミはもっと苦しまないといけない』 『その辛さを避けてはいけない』 『決して、今の状態から逃げ出してはいけないんだよ』 『その理由は分かるかい?』 少女は必死に訴える様に首を左右に振った。 『それはね−−キミは知らなければならないからだ』 『キミは、知って、理解して、受け入れないといけない』 青年はその場にしゃがみ、少女と目線を合わせた。 『キミには、まだ知らないことがある−−知らないといけないことがある』 『それは《知識》じゃなくて《感情》だ』 『こんな欠陥だらけな僕が偉そうなことを言うようだけれど、これだけは言わせて欲しい』 『キミは、まだ間に合う』 『間に合うんだよ』 『だから−−』 『最強でも、最終でも、最悪でも、最弱でも、天才でも−−ましてや《お人形》でもない』 『−−キミは、キミに成ればいいんだ』 青年は腕を伸ばし、少女の細く小さな身体を包み込んだ。 『大丈夫……大丈夫だよ』 『だから、今は思いっきり泣けばいい』 『泣いて泣いて泣いて泣いて、それから泣き尽くして』 『キミは、キミを見つけてくれ−−××××ちゃん』 . |