表駄文
□You Are “BABY FACE”
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負けない
負けるもんか−。
「−やっぱり、な」
声と同時に、背後からふわり、と優しい温もりが彼女を包み込んだ。
「えっ?///」
何であるか瞬時に察したが、それが余りに予期せぬ事だっただけに、ただただ戸惑うばかり。
「肩…震えてた」
ギュッと抱き締めたまま、アスランは片手でツ…と彼女の頬を撫でる。
「あ…」
「言ったろ?カガリは“ベビーフェイス”だって」
カガリの目の前には、キラリと光ったアスランの指があった。
それは明らかに、琥珀の瞳からこぼれた無数の滴の欠片。
アスランには絶対に見せまいと思っていたそれに、カガリは何も言えずにいた。
「“ベビーフェイス”ってね…」
アスランは彼女の髪を優しく撫でながら、ゆっくりと自らの頭を寄せていく。
「一般的には“童顔”て意味だけど…」
そのまま、再び濡れた頬に触れて。
「もう1つ−“泣きそうな顔”って、いう意味でもあるんだ」
「…えっ」
「最近のカガリ…とても辛そうで、今にも泣きそうだったから…」
その発言に思わずはっとなり、カガリは一瞬にして言葉を失う。
アスランには、何もかも分かっていたのだ。
彼に余計な負担を掛けさせまいと、例え厭な事があっても常に笑顔で居たつもりだった。
只でさえ彼は亡命の身。自分の為に肩身の狭い思いをしてるのかと思うと、言いたい事も言えずにいた。
ホントは張り裂けそうなくらい、毎日が悲しくて苦しくて…。この胸の内を吐露して存分に泣けたらどんなに楽になるだろう…と何度思ったか知れない。
だけどここでアスランを頼ってはますます自分が弱くなってしまう。
だからこそ、笑顔という仮面を被り続けた。
それが余計に片意地を張る事になる事も知らず−。と、突然体ごと正面を向けられたかと思うと、そのまま腕の中へと閉じ込められた。
「ア、アスラッ…///」
身を捩りそこから逃れようともがくが、男の力にかなう筈がない。
「カガリ…」
一端力が緩み、思わず顔を上げた途端、未だ濡れてる瞳に軽く唇が触れた。そしてそのまま頬に触れ、再び強く抱き締める。