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□流れゆく変化
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いつの間にかアンタは、俺の事を"新人"と呼ばなくなった。







れゆく
((レノ×ロッド))








昔はそう呼ばれてた事に、無性に腹を立ててた気がする。

馬鹿にされてるような言い方が、凄く凄く悔しくて。


でも、それでも、アンタに呼ばれるその言い方は、どこか心地良かったのかもしれない。








「――…おーい、新人!今日は俺と任務だぞ、と」


"新人"。
レノから聞こえてくる呼び方は、やっぱり相変わらず。
今日こそ言ってやろうじゃあねェか、と思って。

「俺はもう新人じゃねぇ!!」ってさ。

言い切る俺を想像すると、メチャメチャ格好イイ。


そして俺は、振り返った。

レノは笑っていて。


「ホラ、早くしろよ、と」


俺も笑って、口を開いた。



『承知しました』



――その瞬間、俺の言葉を遮るように、後ろから新しく入社した"新人"の声が響く。
俺よりも出来が良くて、俺よりも少し年上の後輩。


俺は、レノと隣に並んで歩くその"新人"を、無言のまま見つめる事しか出来なかった。


そう…俺だけ特別だと思っていたハズの居場所…。
俺のレノにとっての"新人"って居場所は、あっけなく他の奴に取られちまったんだ。


でも――…、俺はもう新人じゃないんだ。
だから別に良いんじゃないか?


そう考えようとしても、今度はそれが無性に淋しくて切なくて…。


「だっせー…」


仕方のないことだと、分かってはいるけど…我儘って言葉では片付けたくなかった。


「――おい、どうした?具合いでも悪いのか」


不意に俺の前に現れたレノ。
突然のことに驚きながらも、こんなガキみたいにひねくれてる所を見透かされたくなくて、とっさに言葉を返す俺。


「べ、別に何でも…。それより、早く任務行けよ!」
「へーいへい」


俺の髪をグシャグシャにして、レノは俺に背中を見せた。


「……レ…」


強がっても、やっぱり背中を見せられるのは辛くて、無意識に名前を呼ぼうとしていた。

ただ、側に居てほしくて。


「…ロッド、今日仕事終わったら飲みに行くぞ、と」


心が、読まれたのかと思った。

その後、レノは俺の返事も聞かずに出ていってしまったけれど…。


「――…あぁ」


名前を呼ばれることが、こんなにも嬉しいことだなんて思いもしなかった。
"新人"よりも、 "ロッド"って呼ばれたことによって生まれた優越感。
新しい居場所。


他の奴よりも、俺はレノに近い存在になれた。


勝手な自己解釈だけど…嬉しいんだ。
そう思っても…、良いかなレノ?



とりあえず、今日の夜会ったら、さりげなく聞いてみようか…――。




END.


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