拍手SS

□心配性な彼
1ページ/2ページ



心配性な
((レノロド・18章ネタ))









「――俺も行くッ!…ぞ、と」


危うく自分の口癖を忘れてしまうほど、レノは焦っていた。

今の状況を簡単に説明すると、ロッドが再復帰の為、まずはリハビリも兼ねて簡単な任務に就く事になった。
それについてツォンと会話をしていたのだが、間に入るように何処からかレノが現れる。


「――…はぁ…、レノ。今俺がツォンさんと話してんだから、あっち行ってろよ」
「や・だ」
「ガキかよ…」


ロッドがしっしっと追い払うように手をひらひらさせるが、レノは舌を出してその場所から離れようとしない。


『レノ…今回のロッドの任務は簡単だからそれほど…』
「嫌です、と。俺も行くっ」
「俺一人で十分だって…何でそんなに一緒に行きたがんだよ…」


この言葉にレノは食らい付いた。


「あっまーーーいッ!!」
「はぁ?」
「ロッド…俺はお前を失いたくないんだ…。三年間もお前が目覚めなかったのは、俺がお前と一緒に行ってやれなかったせいだから…だから、俺はお前と離れたくないんだよ…ッ!!」
「レ…レノ…?」


俯いたレノは微かに震えているような気がして、ロッドはレノに手を伸ばす。


「…って訳でツォンさん!」


だがロッドが近づいていることに気付かなかったレノは、直ぐ様ツォンの方に向き直ってしまい、そのせいでロッドはガタガタと机を鳴らしてコケてしまう。


「俺は絶対ロッドと一緒に行きますよ!と」
『だからさっきも言っただろう?ロッドの任務は簡単だから一人で十分だと』
「…ツォンさん、一生のお願いだ。ロッドと一緒に行かせてくれ…ッ」
『レノ…』


いつの間にかドラマチックなシチュエーションになっているが、レノの足元ではロッドが自分がコケた事に気付いてもらえず、少々ヘコみ気味。


『――レノ………、お前の一生のお願いは一体いくつあるんだぁ〜?』
「あ…あふぉ、ひゅっかひくはい?(あ…あと、十回くらい?)」


我儘を言うたびに「一生のお願い」を使うレノに、いい加減に腹が立ち、ツォンはレノの頬っぺたをぎゅっとツネる。


「ほら…レノ、ツォンさんもこう言ってることだし、お前も自分の任務行けよ」
「コラぁ!?先輩に向かってお前って言うな!レノ様って言えッ」


またもや言い合いになりそうな予感がしたツォンは焦って二人を止める。


『――分かったからやめろ!』


呆れた顔をしたツォンに二人は向き直る。


『新しい任務を言い渡す…ロッド、コスモキャニオンにいると噂されている絶滅危機の動物を、生きたまま捕獲』
「リョウカイ」
『……レノ』
「はい、と」
『この任務はロッドだけではとても無理がある。お前の任務はロッドのサポートだ』
「やっりィッ♪」


レノは嬉しさのあまりロッドに抱きついた。


「ぐぇ…苦し…」
「マジですか〜ツォンさん!?」
『ただし、条件がある…あくまでお前はサポート役だ。それなりにお前がリードする場面もあるとは思うが、なるべくロッドの意志に従うこと』
「はいはい、了解、と」
「――…言っとくけどレノ、俺が別行動って言ったら絶対ついて来んなよな?」
「えー?」


あからさまに嫌そうな表情のレノに、ロッドは小声で囁く。


「……もし俺の言う事聞いてくんないなら、今日の夜は…ナシだかんな?」
「…え?」


ロッドはレノを突き放し、ツォンに笑いかける。


「んじゃツォンさん、早速俺達行ってきまーす☆」
『あぁ、頼んだぞ』
「…え、ちょっ……ちょっと待て、ロッドーーーッ!!?」




END.



次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ