秘密部屋
□餡子サマからVv
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雨の道路は良く滑る
『今日の降水確率は90%です。お出かけのさいには傘を忘れないようにしましょう!』
テレビの中のキャスターが笑顔で答えている。
「90%って…ほぼ確実じゃないかよ!?…うわぁどーしよ」
朝の出勤前。窓から外を見れば今にも雨が降りそうなほどの曇天。
それでもまだ降ってない…。
会社までは歩いて50分、バイクで20分…。
「ギリギリ大丈夫じゃないのか?」
とばせば降られないで着きそうだと判断してバイクのキーを取り家を出た。
ーーーー
「おはよーさん、と」
「レノか…」
「そんなガッカリした顔しないでくださいよ、と。俺が遅刻するのなんていつもの事ですよ、と」
「いつもの事にするな馬鹿者!」
ツォンさん何をそんなにピリピリしてるんだよ、と。
「なぁルード…」
「暁がまだ来ていないんだ」
「は?」
あの時間にだけは遅れない暁がまだ来てない?
「休みの連絡は?」
「ない」
ピリリリリ…ピリリリリ…
本部内に緊張の空気が満ちた頃、ツォンさんの携帯が鳴った。
「もしもし」
『あ、もしもし?こちら〇〇病院の者なんですが』
「病院の方がなぜ暁の携帯を?」
『それが…この携帯の持ち主の方が事故に遭いまして』
「暁が事故った!?今どこですか!」
暁が事故?
暁は今どうしてる?ちゃんと生きてるのか?
ドクン
ドクン
心臓がうるさいぐらい早鐘をうってるのがわかる。視界が歪んで、息が出来ない…。呼吸ってこんなに難しかったのか、と…。
嫌な考えばかりが脳裏を走り抜ける。
「はい…はい…わかりました。よろしくお願いします」
電話ごしに頭を下げると通話を切った。
「暁が事故ったそうだ…今近くの病院で集中治療をうけているらしい」
「ツォンさん…」
「レノ、行ってやってくれ」
「了解」
俺はすぐに本部を出て暁のいる病院を目指して走った。