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□信用 信頼 信じるコト
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――突然だけど、ニチョとケンカした。





じるコト
((二丁+ロッド))







『お前は人を信用しすぎだ!』
『…少しは人を疑え。お前が思ってる程、世の中そんなに甘くない』


――人を信じるのって、そんなに悪いことなのか?




俺だって昔はギャングだったんだ。
確に、この時代の裏側なんてどんなに酷くて汚い…そんなの、言われなくたって分かってるっつーの…。
俺なりに、世の中の厳しさってのは学んできたつもりだ…色んな経験もした。

それなのにニチョは、俺をずっとガキ扱い。
歳だってそんなに変わんねーのに…。



何時ンなったら俺の事、認めてくれるんだよ…。




『――っざけんなっつーのッ!!』


俺の中で堪えきれなかった"何か"が爆発する。
それがきっかけで、俺は今回の任務を単独で遂行する事にしたんだ。



――…これは、ニチョに対しての細やかな反抗。












「――くそっ!ニチョのアホッ!!」


叫びながら俺はズカズカと足を進める。


『――あの…』
「んあ?」


振り返れば、目に入ったのは待機していたであろう神羅兵が数名。
いつの間にか任務先の目的地に着いていたらしい。
ちなみに、別行動のニチョはまだ到着してなさそうだ。


『本日、任務に同行を―…』


神羅兵のありきたりな挨拶を聞き終われば、俺もいつも通り適当に自己紹介。


『――失礼ですが、他にタークスの方は…?』


兵士の一人が回答を求める。
ちなみに俺にとってこの一言は『あなた一人で大丈夫なんですか?』みたいな言われ方をしたみたいで、腹が立った。
だから。


「俺だけっ!」


嘘ついてやった。
早く来ないニチョが悪いんだ。


「ほら、さっさと行くぞ」


で、兵たちに八つ当たり。
腹のムシが治まらない俺は、さっさと背を向けて歩き出す。





――…不意に。


――ゴツッ!!

「ぐっ…ッ!?」



鈍い音が頭の中に響いた。
同時に視界が暗くなり、体の平衡感覚が取れない。


――ドサッ…


何とか踏ん張ったけど、結局俺は地面に倒れ込んだらしい。
受け身が上手く取れなかったから体が痛む…けど、その代わりに一度飛びそうになった意識は、段々とはっきりしてくる。


「な…にすんだ…」


ズキズキズキズキ…。
痛みが途切れない頭頂部に手を当てれば、ベタついた感触。
血が、止まらない。

けどそんな事はお構い無しに、俺は殴りつけてきた誰かを睨み付けるように視線を向けた。
見上げれば、俺の前には一緒にいた兵たちだけ。

――もしかすると…。
昔から、嫌な予感は的中するんだ。


『まだ気付かないのか?』


口の端をつり上げて、そいつらは服やら防具やらを取り外す。


「アバランチ…」


神羅兵特有の戦闘服の下には、見たくないと何度も思った奴らの姿。


『クククッ…』


薄気味悪い笑い声を響かせてどんどん俺に近付いてくる。


「チッ…」


俺は小さく舌打ちをして、立ち上がろうと足に力を入れる。


――ガチャ!!

『動くな』
「……ッ!」


俺の微かな動きに気付いた一人が、頭に銃を突き付ける。



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