Music
□ハッピー・エンド
1ページ/3ページ
朱く染まる君の眼に
映る僕は何色?
ハッピー・エンド
その日の夜は、同期であるシズネの家で呑んでから帰った。
久々に酌み交わす盃。最近色々大変だよねーから始まり、シズネの仕事の愚痴や不満、つまりは綱手様へのお小言になって。
シ「大体、仕事中もさぁ…あるからって胸出し過ぎなんだよー!しまえっつーの!ね、そう思うでしょー?」
「まぁ確かに!あんなに出てたら男性陣の士気も下がるよねー…私が男だったら、堪らず抱きついてるよ?顔埋めてモフモフしちゃうってー!」
シ「でしょ!?ふしだらだよね?破廉恥よね?」
「…破廉恥でござるぅぅう!だね(笑)」
そんな感じの中身のない会話で時間を過ごした。酒もいい感じに回って、お互いわけ分かんなくなっていた。けど、お互いいい息抜きになったのも事実で。
シ「また暇なったら一緒に呑もうねー」
「うんうん、いつでも誘って!」
シ「うー…明日仕事行きたくなーいー」
「ほれほれ!呑みすぎだよ!明日もちゃんと破廉恥様のお世話しなされ!」
シ「ぷっ、は、破廉恥様て…ぷっ」
そんなこんなで、シズネの家を後にしたのだった。
ひとり、夜道を歩く。月が明るいせいか、街灯のない道に入っても眼が困ることはなかった。
身体がまだポカポカしていることもあって。初夏の夜風が肌を擽り、酔いを冷まさせるには丁度いい涼しさだった。
夜道を女がひとりでなんて、とか。誰かにつけられたりして、とか。そんな危機感は一切持たずに。とにかく早く自分のベッドへバタンキューしたいの一心で、私は歩みを進めていた。
ふと気が付くと、急に人気がなくなって。心地よかった風が一瞬、肌を刺すような感覚を覚えた時。
ふいに眼の端に映ったのは、灯りのない真っ暗な門。遠くに見えるそれにゆっくりと視線を移せば、そこには黄色いテープが張り巡らされていて。
「……そっか、此処は…」
それがうちは一族の門であると、気付くのにそう時間はかからなかった。
.