うたプリ

□Hello,new year
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あと数十分で、今年とやらが終わり、来年という新年がやってくる。

私はこたつでみかんをつまみながら、年末恒例の歌合戦を見ている。砂月も私の向かいに座り、一緒にテレビを見ていたはず、なのに。



「わぁ…今年もスゴい衣装だねぇ…」


「………」


「…あれ無視?おーい、砂月ぃ?」


「………」



無反応なのを見て私はこたつの中で砂月の足をえいえいと蹴ってみる。が、反応はなし。



「…もしかして、寝た?」


「………」


「…マジか、」



さっきから静かだなとは思ってたけど、いつの間にか床にゴロンと寝転がって、気持ちよさそうに寝息をたてている。



「…このヤロウ…」



こたつを抜け出して向かい側に行ってみると、なんとも可愛らしい寝顔が。けど、せっかく二人でいるのに、一人で年越しとか虚し過ぎるんですけど。



「………」



砂月が寝てるのをいいことに、私はこたつの砂月の隣に滑り込む。そして砂月の背中に寄り添うようにして彼のお腹に腕を回してみる。



「…ねぇ、もう少しで今年も終わっちゃうよ…?」


「………」



相変わらずノーリアクションだけど、私は気にせずに言葉を紡いでいく。



「…色々あったね…今年も」


「………」


「…ほとんど砂月といた気がするけど…」


「………」


「私、まだまだ一緒にいたいな…」



ぎゅってお腹に回した腕に力を込める。砂月の温もりと砂月の匂い、時期が時期だからなのかもしれないけど、なんだか自分でも分からないくらいに、愛しさが溢れて。



「…来年も、よろしくね?さっちゃん、」


「……ぷっ…」


「…え?」



可笑しいな、今笑い声聞こえた。ぷって…あれ、オナラだったかな?

そして砂月の肩が小さく揺れている。もしやと思って身体を起こして顔を覗けば、案の定くすくす笑っている砂月が。



「…ヤロウ、いつから起きてやがった…」


「途端に口悪いな…あんな触られたら目覚めるっつーの、」


「…ちきしょー恥ずかしい…」



何故か悔しくて砂月の背中に顔を押し付ける。なんか、まだ笑ってるんだけどコイツ。



「…て、あ…お前石〇さゆりきたら起こせって…もうさぶちゃん歌ってんじゃねーかよ」


「…は?知らねーよ、勝手に一人で寝たくせにー」


「あぁ…ったく、眠ぃ…」


「…小学生じゃないんだからさ、年越す前に潰れてんじゃねーよ」


「…あぁ?お前、だって俺は…」



なんかそんなしょーもないやり取りを続けて、知らない間に歌合戦は終わって、いつしか除夜の鐘の映像が。


そして、



「…大体、今日は砂月が…!って、…あ…」


「……あ…」



除夜の鐘がテレビの中から聞こえてきた。



「…あけちゃった…」


「…だな」


「…口喧嘩してる間に、ね」


「……ふん…」



口喧嘩してた割に、私はまだ砂月の背中にくっついてるし、砂月も私に包まれたままだし。なんかもうどうでもよくなって、次第に私にも睡魔が襲ってきていた。



「…なんか、新年だけど…全然、昨日の延長だね」



まだ31日みたいな、そんな気分。新鮮さも爽やかさも皆無。ただ、砂月の背中にくっついている、心地よさだけがあって。



「…とりあえず、今年もよろし…」


「…馬鹿だな、お前」


「……へ?」


「…今年とか、来年どころじゃなく、よろしくしといてやるよ」


「………」



途端、顔に熱が集まる。遠回しだけど、それって、つまり。

けど、やめた。追求すると、また口喧嘩になりそうだから。

有り難く、黙って受け取っておく、ことにする。



「…ふふ、んじゃよろしく…」


「………」


「…耳、赤いね?」


「…うるせー」







…嗚呼きっと、


私の胸は今



こたつの中の、足より暖かい。















Hello,new year



(それはきっと、いつもの明日)














20121229



ちょっと早いですが、
皆様よいお年を(*´∇`)ノ





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