Music
□CHE.R.RY
1ページ/1ページ
(現代パロ)
[17時には帰るって言ったくせに]
時計がもうすぐ19時を示す頃。頭にきた私はそんなメールを彼に送信する。携帯をテーブルに置いて突っ伏すと、すぐに着信があった。
{降雪で止まっていた電車が復旧したんだが、人が多くてしばらく見送っていた。今ようやく乗った、あと15分くらいだ。}
「…はぁ?何本見送ったらこんな時間になんのよ…」
私の神経を逆撫でしたいとしか思えない文面に苛ついて、私は晩ご飯のつまみのチーズをひとつ口に入れ、また返信した。
[お腹空いて死ぬ…飛んで帰って来いっ]
{…無茶を言うな…。}
返信早っ、とか思いながら。窓の向こうの真っ暗な空を見つめる。きっと彼がいる街はまだ灯りがあって明るいんだろうけど。
[今日はハンバーグだけど、明日の夜は何がいい?]
{何でもいい。}
何でもいいが一番ムカつくの、あいつ知らないのかな?せっかく電車の中退屈だろうと思って私がメール仕掛けてやってんのにさ、あんたがメール発展させないでどうすんのよ。
[シチューとグラタンだったら、どっち?]
{どちらでも構わん。}
あ、もう完全に頭きたよ、コレ。ハンバーグお前の分まで食ってやろうか、この野郎。確かにホワイトソースで2択にした私にも問題があったかもしれない、が、しかし。さすがにダメでしょ、その解答じゃ。
[…もう知らない。先に寝てやる]
{…それは、駄目だ。}
[…なんで、]
{…何でも、だ。}
なんか、急に吃りだしたな。何だかんだ言って、彼も私からのメール嬉しいんじゃないのかな、なんて。ただ、寂しいのは私の方だってのに。
私が返信しないでいると、立て続けに彼からメールが。
{待っていて、ほしい。}
「………」
寂しさ見透かされたような、なんか包み込むような、なんか不思議な1通だった。私は小さく微笑みを零すと、彼を不安にさせないよう、すぐに返信してやった。
[…早く帰っておいで、馬鹿]
{今、飛んで帰ろう。}
「…ぷっ、何だそりゃ…」
小さく吹き出してから、窓へと視線を移す。さっきは真っ暗だった空に、小さく光る星がひとつ顔を出していた。
CHE.R.RY
(指先で送る、君へのメッセージ)
「CHE.R.RY」
♪YUI
20121209
遅くなりましたが、
HAPPY BIRTHDAY*うるきおら!
.