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□絶対命令。
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その2

〜♪♪♪

軽快なリズムで遊園地内を飛び交う音楽。
そんな音楽も耳に入れながら沢田綱吉は友達との遊園地を楽しんでいた。
憧れの笹川京子ちゃんと一緒にこれたこともあり、綱吉の気分は最高潮に達していた。

元々、遊園地に行こう。と提案をしたのは綱吉の親友、獄寺隼人だった。
彼は怒ると怖いが綱吉には特にやさしくしてくれていて綱吉はそんな彼を好いていた。
もちろん他の親友の山本武や、友達の三浦ハルや近所の友達の六道骸など好きな友達はたくさんいた。
けれど、やっぱり獄寺が特別好きだった。
まあ、少しどうでもいい話だが。

「最初にどこいこっか。」

そう切り出したのは京子だった。
彼女はジェットコースターに乗りたい。と言っていたが、生憎綱吉はジェットコースターなどの絶叫系が大の苦手だった。
が、せっかくの提案を押し切るわけにもいかないので「い……いいよ」と苦笑いを浮かべるしかなかったのだった。


「うえっ……おほっ…う………っ」

案の定、予想してたとおり吐いてしまった。
乗っている時の綱吉の叫び声がよほどおもしろかったのか、骸や了平はつぼにはまってしまったようで降りてからひぃひぃ言っていた。
綱吉はそれがものすごく恥ずかしかったはずなのに、こんな幸せなひとときが嬉しくて嬉しくていつのまにか笑みがこぼれていた。

「次は、ゴーカートにのりませんか?」
「おっいいなそれ!!」
「俺も賛成だ。誰か、俺と危険なドライブしてみねーか?」
「あはははは!」
そんな獄寺の冗談もいつもより楽しく思えた。
ずーっとこんな幸せなひとときが続けばいいと心の底から綱吉は思った。
ずーっと。
ずーっと……


---------


「んー!!疲れましたね……」
遊び疲れた骸が背伸びをしながらいった。
「確かに」
周りを見れば人気もだんだん少なくなっていき、赤く染まっていた夕焼けの空もすこしずつ暗くなっていっていた。
みんなの顔も心なしか少しやつれているようだった。
でもみんなでケータイで撮った写真をながめると自然と口元がほころぶ。
ほんとにみんな笑顔だ。
みんなも俺と同じ気持ちなのかな…。
幸せって思ってるかな。
そんなことを考えていたら、京子に肩を叩かれた。
「え……っな、なに?」
「もう最後になると思うから、みんなで一緒にここに入らない?」
「こ、ここ………?」
京子が指差した先には……
そう、綱吉が遊園地の中でも一番苦手とする…………

お化け屋敷だった。

指差した先を見るたびガタガタと震えだす綱吉。
マンガではよく見かけるシーンでけどもあまり現実では目にしない映像だ。
まさにマンガの主人公といったところだ。
綱吉が目を白黒させ、カクカクととめられないくらいの震えをあらわにしている足を力強く抑えていると、ポン。と肩を叩かれた。
「?」
「大丈夫っスよ10代目!」
綱吉の肩をたたいた獄寺は悪戯気にニカッと笑って見せた。
そんな顔を見ると綱吉は口元をほころばせ、
(大丈夫………大丈夫…)
と、自分に言い聞かせた。
震える手で入口のドアを開けると、不気味な格好をしたスタッフの人二人が立っていた。

「…7名様ですね?」
「は、はい……」

予想もしていなかった不気味な声に綱吉はビクッと体を震わせた。
7名だということを確認するとスタッフの人は黒い布がかかった入口を指して「ではお進みください」といった。
山本がペコリとひとつおじぎをすると、スタッフの人はひとつおじぎをしたあと
ニヤッ
と不気味に笑った。
綱吉はそのスタッフの様子のおかしさに気づいていた。
しかし、それは気のせいだ。と自分に言い聞かせみんなの後についていき、奥へとはいっていくのだった。


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「「きゃああああああっっっ!!!」」
京子とハルの高い叫び声が先が見えない屋敷へと響いた。
しかしそんな京子とハルにも負けない大声で「うわあああああああっっっ!!!」
「ひいいいいっっっ!!!」
と叫んでいる綱吉がいた。
屋敷は薄暗く前が見えない。という状態でその不気味さがよりいっそう恐怖心を引き立てていた。
壁には赤のペンキを血のように見せかけ壁全体に赤い血痕のようなデザインがされてあってそれもよりいっそう恐怖心を引き立てる。
そのすべてに激しくおびえる綱吉。
それをささえる京子をハル。
普通は反対だ。という光景に了平や骸は笑ってしまった。

何分あるいたのかわからないまま歩いていると獄寺が「おっ」と声をもらした。
何かと怯えながらも獄寺にたずねると
「あれ。出口っスよ!10代目!!」
その言葉を聞いたとき綱吉は嬉しさのあまりその出口のドアに勢いよく走っていった。
「お、おいツナ!!」
呆れながらも笑って綱吉を追いかける山本。
みんなもその二人を追い、ドアへと向かう。

バン!!!

見た目とは違い、軽いドアを開けると
「やったーーー!!!出たぞーーー!!!」
そう叫んだ綱吉だった。
しかし、
何かが違う。 何かが。様子が。
おかしい。
出口だと思いきり開けたドアの先には
外ではない、
出口ではない、
黒いひとつの部屋だった。

「………え………?」
「一体…どうなってるんですか…」

この後、この部屋は血の海になるだろう。


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