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□あの歌の正体
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『マスター…何か歌が聞こえませんか?』

「歌?」



昨日から熱を出しているクミが突然そう言い出しレノが耳をすます。
が、何の音もしなかった。



『えー?でも確かに歌が聞こえますよ』


「きっと熱が聞こえるんだぞ、と。ほら、さっさと寝とけ」


レノはそう言ってクミの布団をかけ直す。



そしてレノは隣の部屋へ移った。






『(この歌はレン君の右肩の蝶…)』




そしてクミは口を開きか細い声ながらもその歌に沿って歌いだした。



『…っ…』



やはり案の定、声が出なくなった。
登録されていない歌は唄えない。
それがボーカロイド。
クミはシュンと肩を落とした。



『歌いたいなぁ…』


まだどこかで流れているこの歌を。
まだ知らないみんなの歌を。



「熱が下がったら歌わせてやるぞ、と」

『マスター…』
「…そういえばいつの間にまたマスターになっているぞ、と」

ガックリとレノは肩を落とした。


『あ、ごめんなさい…えっと…どうしたのですか?』

レノ「そういえば歌の正体は多分こいつだと思ってな」



そう言ってレノはクミの寝ているベッドの横にあるイスに無造作に投げられている服の中を探り始めた。
その様子をクミはただ見つめている。


「ほらな」

『あ…』


レノの手の中には小さく歌が流れているiPod。
歌の正体はそれだった。



「ほら、正体が分かった今、さっさと寝とけよ、と」


『あ、歌…』


レノ「治ったら考えてやるぞ、と」



そしてパタンと閉められたらドアを見送ったクミはすぐに寝て完全に寝るまで何を歌わせて貰うか考えていた。




end
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