ED後:聖なる焔の光の誓い

□3.月夜
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 グランコクマ城を出たルークたちは、広場で足を止める。

「アッシュとガイはこれからどうするんだ?」
ルークの問いかけにアッシュは言った。
「俺は特に用はない。明日にはバチカル行きの船に乗って帰るつもりだったが」
「そういやアッシュはなんでグランコクマに来たんだ?」
公務ではないといっていたけれど、そうでなければ一体何故マルクトの首都まで来たのだろう。
「マルクト軍に情報の共有でな。キムラスカとマルクトの情報交換に来ただけだ。伯父上の命令でな」
「あ、なるほど」
そういえば、最近不穏な動きをしている組織があることを聞いていたのだった。おそらく、それに絡んでのことだろう。一足先に、この世界に戻っていたアッシュはそれらに関してすでに関わりを持っているのだろう。
「ガイは?」
「俺は相変わらずだよ」
苦笑し、ガイは肩をすくめた。その様子から、どうやら彼は相変わらずピオニー陛下やジェイドにこき使われているらしい。
「まだやってんのか? ブウサギの世話」
「まぁ、もう慣れたよ。ユリア派だのなんだのって殺伐とした仕事してるよりはいいもんだ」
「そういえば、ジェイドは?」
「旦那は確か、セントビナーに軍の演習で行ってるはずだぜ」
「そっか。忙しそうだな」
マルクト軍に所属している彼は、基本的には師団を抱える身であるし、現在はフォミクリーの研究を再開し、忙しいらしいことはティアからも聞いた。
「ルークはどうするんだ?」
ガイの問いかけにルークは考える。
「実は、他に行きたいところがあるんだよな」
「どこへ?」
「ユリアシティとダアト」
ルークは答える。
「ヴァン師匠とイオンにさ、挨拶に行きたくて」
自分にとって特別な人たち。

 ヴァンは剣を教えてくれた師匠で。確かにひどい裏切りを受けたし、世界を、オリジナルの世界を滅ぼそうとした人だけど。少なくともヴァン師匠の計画があったから自分が生まれたわけである。
  イオンは、酷かったルークをずっと『優しい』と言ってくれ、初めて本気で褒めてくれた他人だった。そして、実は同じレプリカで。でも、それだけじゃない繋がりをルークも感じていた。

「アッシュも行かないか? 予定はないんだろ?」
「俺は……」
戸惑っている様子のアッシュ。
 無理もない。アッシュはもしかしたらルークよりもヴァンには複雑な感情を抱いてるのかもしれないのだから。
 そんなアッシュの肩にがしっと腕を回したガイが
「よし、俺も行くぞ!」
と、言い放った。
「お前、仕事は?」
「平気だって。たまには俺だって休みたいんだよ!!」
ということは、それなりにやはりこき使われているのだろう。だけど、強引に休んだりしても後が怖いと思うが。だが、本人がそう言うのだからいいかと思った。
「ほら、アッシュも行こうって!」
ガイはアッシュの肩をバシバシと叩くと笑った。
「気持ちも、判らなくないけどな。ケリつけてこいって。な?」
「……そう、だな」
「じゃ、決まりだな」
ルークは頷く。
「俺、ティアとミュウを宿に待たせてるんだ。俺はそっちに泊まるけど……」
「俺も宿だ」
どうやらアッシュも同じらしい。
「じゃ、俺も」
ガイは空いている方の腕をルークの肩に回した。
「ガイ、お前は屋敷へ戻れよ」
「いいだろ? 幼馴染み同士、ゆっくり話そうぜ」
そう言うガイにルークは笑った。
「うん。そうだな」
「付き合ってやる」
アッシュも頷いて。
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