ED後:聖なる焔の光の誓い

□2.グランコクマ
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 マルクト帝国の首都、水に囲まれた美しい街並みと城は有名である。

 水が煌めく美しい街を眺めながらルークはミュウを行き交う人たちに蹴られないように肩に乗せ、ティアと並んで歩く。
「ルーク。アッシュはどこにいるの?」
ティアがそう尋ねる。
 そうだ、グランコクマにいるとは聞いたが、今どこにいるのかまでは聞いていない。
「どこだろ。城か、宿か……ガイの屋敷かだろうけど」
アッシュがどういう用件でここへ来たのかにもよる話だ。
 だが、ガイの話が出たことを考えると、少なくともガイならアッシュがどういう用件で来たのかは知っている気がする。
「ガイなら、知ってるだろうから……ガイの屋敷に行こうぜ」
「そういえば、ルークからアッシュに連絡は取れないの?」
ティアが当然の疑問を口にした。
「どうだろう。……出来そうな気がしなくもないんだけど。こっちに戻ってからは試したことないからな」
前はローレライの手を借りてアッシュの夢に割り込んだり、無理に繋いだりしたが、戻ってからはルークからフォンスロットを同調させることはしていなかった。

 だが、なんとなくだが、出来る気がする。

「やってみるかな?」
「ですのー!」
「そうね、何ができるか出来ないかを確認しておくのはいいことだわ」
ティアの言葉に同意してルークは一度試してみることにした。

 深呼吸をして精神を集中させ、アッシュの音素をフォンスロットを通じて探してみる。

 やり方は前にティアに習ったことと同じ。たくさんある音素の流れの中からアッシュのそれを探すのは大変だが、それでもルークはすぐに見つける事が出来た。

「アッシュ」
それを頼りに呼びかけると、少しの間を置いてアッシュの声が返ってきた。

―――ルークか?

「よかった、繋がった」
無事に繋がったことに安堵の息を吐き出すと、ルークは目的を思い出した。
「今、グランコクマに着いたんだけど、お前はどこにいるんだよ」

―――今は貴族院にいるが……

「何だよ公務か?」

―――いや、そういうわけじゃない。ガイに付き合わされてな。弾除けにされている。

  弾除けという言葉が気になったが、とりあえずその事は置いておくことにし、ルークは続けた。
「じゃ、そっちが抜けられるまでどっかで待ってるよ」

―――お前もこっちへこい。どうせ出入りしなきゃいけなくなるんだから、顔出しぐらいしておいて損はない。

「正装じゃねぇよ、俺」
服装は旅がしやすいように軽装だ。貴族院に行くような格好ではない。

―――構わん。俺も似たようなもんだし、今日はそういった類の集まりではないらしい。

「そっか。わかった。じゃ、そっちに行くよ」
そう返すとルークは回線を切った。

「アッシュ、貴族院にいるらしい。顔出しに来いってさ」
そう言うとルークは肩に乗せていたミュウをはがしティアに押し付けた。
「さすがにミュウは連れていけないから、頼むわ」
「判ったわ。じゃ、私は宿を入れておくわね」
ミュウの身体を受け取りながら言うティアにルークは頷いて、そしてミュウの頭を撫でる。
「ミュウ、ティアを頼むぞ」
「はいですの! まかせてくださいですの!」
元気良くそう言って、大きな耳袋を上下させるミュウに笑いかけてから身体を翻して駆け出した。

「じゃ! いってくるな!」

「いってらっしゃい、ルーク」
「いってらっしゃいですの!」
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