リトルアンカー
□存在する光
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まだ………
まだ、失くしてない。
小さな、光を。
お前を…―――――――
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此処に、居る。
この腕の中に、在る。
雪乃は、俺の腕の中に収まっている。
生きている。
心臓の音、聞こえる。
「………ん………」
雪乃は、冷たくない。
あったかい。
ちゃんと生きている音が聞こえる。
もし……
今、この時。
雪乃の心臓の音が止まって、息するのも止まって、動かなくなったら。
きっと、びっくりする程冷たくなるんだろうな。
「…………俺が、守ろう…」
決めた。
俺は、こいつを一生守る。
愛しい、愛しい俺の雪乃。
もう、何処にも行くなよ。
「…………っくしゅん……」
寒いのか……?
「…んん……」
ぎゅうっと、雪乃の躯を抱き締める。
「……キレイな顔…」
キレイな躯に、キレイな心。
時々、こいつを汚したくなってしまう。
でも、やっぱり雪乃はキレイなままなんだ。
「……な、ぎ…と……」
「………」
…違う、男の名前?
馬鹿……。
あぁ、馬鹿だ、お前は。
「………っ……」
唇と唇、重ねて。
「………んっ…」
ピクリと躯が動く。
お前の声に感じる。
心に響いて、もっとしたくなる。
「…はっ…」
「んぅ……」
啼いたら、とても可愛くて。
犯ろうかって思った。
けど、止めた。
寝込みのとこ犯しても可哀想だし。
嫌われそうだと思ったから。
「な?雪乃…」
「すー…」
おでこにキスする。
「やっぱり、甘いにおい…」
花の香り。
もっと好きになる。
だから、もう一度…――――
「雪乃…」
聞いてる?
「お前の香りに、酔ったよ…」
雪乃にキスした。
お前の躯、抱き締めて。
力を入れれば折れてしまいそうで。
唇と唇、重ねて。
お前の啼く声に感じてしまいそうで。
もう、離さない…―――――――――
End
→後書き