第三の本棚
□時計屋ウサギと現実屋
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森の中の小屋。
時計屋のお店。
そこに時計屋ウサギは住んでいた。
チクタクと音がする彼女の懐中時計。
世界中の時間は全て彼女の手の中にある。
中でイチゴのパイを焼いていた彼女は居候の女の子に話しかけた。
「リール、お茶にしよう。」
居候の女の子リール、赤いジュースが大好物の彼女は毎日お店の時計を磨いている。
彼女のおかげで店の時計はピカピカ。
「お茶?」
「ローズヒップだよ。」
パイを食べて紅茶を飲んでいると。
「こんにちは…」
お客さんが来た。
白いスーツの銀髪の男の人。
「いらっしゃい、名前は?」
「…わからない。」
自分の名前を知らない人。
声からして…十代かな?
「どっかで落としてきたんだ、きっと記憶と一緒にね。それならここに住めばいいよ。」
銀髪の男の人はここに住むことになった。
家事全般得意な彼が居てくれて家事全般が適当なウサギは大いに助かっていた。
だけど何日かして、お店に黒い服を着た男達がたくさん来た。
「その男を渡せ、そいつは現実屋。」
現実屋
願えばそれが現実になる。
世界だって壊せる。
ボクは二人を連れて逃げ出した。