第三の本棚

□時計屋ウサギとアリスの夢
1ページ/2ページ

ここは絵本の世界。

『不思議の国のアリス』

森の木もおしゃべりする花もいつもどうり。

紫色のチェシャネコも青い芋虫もいつもどうり。

だけど何かが違う。

「おーい、ハリネズミくん。他の皆は?」

「皆居なくなっちゃった…」

公爵夫人もハートの女王様も皆いない。

森の中を歩いていると女の子を見つけた。

青いワンピースに白いフリルのエプロン

アリスだ。

だけど今の現実の世界は夜。

夜の絵本の世界の主人公は夢を見ている子供達。

「ようこそ。不思議の国、夢の世界。不思議の国のアリスへ。」

礼儀として挨拶をした。

「どうしてウサギが?居ないはずだよ。」

え、とウサギは少女を見た。

手には血で赤く染まったナイフ。

「アリスの世界が…」

アリスの世界が壊れている。

他の絵本の世界を夢に見ていた少女たちがここに居て…どうなっているの?

「ここは夢の国よ?」

そう、夢の国。

目が覚めたら消えてなくなる。

忘れられる世界。

「私はこの夢の世界の主人公、お姫様。」

少女は無邪気に笑った。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ