裾もほらほらしどけなく
鏡山人のしがよりこの身のしがを
かへりみるめの汐なき海に娘すがたのはづかしや
男ごころの憎いのはほかのおなごに神かけて
あはづと三井のかねごとも堅い誓いの石山に
身はうつせみのから埼やまつ夜をよそに比良の雪
とけて逢瀬のあた妬ましいようものせたにゃわしゃのせられて
文も堅田のかただよりこころ矢橋のかこちごと
松を植よなら有馬の里へ植えさんせ
いつまでも変わらぬちぎりかいどりづまでよれつもつれつまだ寝がたらぬ
宵寝まくらのまだ寝が足らぬ藤にまかれて寝とござる
あぁ何とせうかどせうかいな
わしが小まくらお手まくら
空もかすみの夕照りに名残惜しみて帰る雁金――